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婚活バー、3150円。

文・内藤みか

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近頃話題のシングルスバーを訪れてみた。シングルスバーとは、独身の男女が集まる場所で、合いそうだと思う人をお店がマッチングしてくれるという。テーブルチャージが3150円かかるけれど、マッチングされたら女性の飲み代は男性持ちとなるそうだ。

六本木という場所柄、訪れるのはスーツ姿の30代前後の男性が多いらしい。私の頭の中にイケリーマンに腕をからめて六本木のネオンの中に颯爽と消えていく自分の姿がチラついた。

世は婚活ブームとはいえ、38歳バツイチ2人の子ありの私を結婚対象として見てくれる男性はかなり少ないだろう。わかっているのに、紺色のワンピを着て髪を真っ直ぐにブロウし、清潔そうな女を演出して店を訪れる自分がいた。

早い時間だったので、お客様は多くはなかった。澄まして座っていると、入店してきた男性が前を通る。すると緊張が走り、顔がこわばり、無理な作り笑いまでが出た。
もう少したてば仕事帰りの男性が大勢来ると店員さんに引き止められたけれど、普段と違う取り繕った自分に限界が訪れ、早々に店を出た。

そして私はその足で新宿のボーイズバーに向かってしまった。店に入るなり自分好みの23歳のイケメンを指名し、隣にはべらせる。

ボーイズバーは、婚活バーとは逆のシステムである。男の子と一緒に飲む時は、私が男の子の飲み代までも支払わなくてはならない。けれどその代わりに、好きな男の子を選べる自由がある。

大口をあけて笑ってワイ談をしながら、私は先ほどまでの緊張を解き放った。ほっとできるいつものノリがそこにあった。シングルスバーにはいないであろうジーンズ姿の若い男。ああどうして私はこういうタイプにハマりやすいのか......。

近ごろ私の体重は過去最高値を更新し続けている。婚活バーで一瞬味わった、男性に見定められるという全身の緊張感を、どこかに置き忘れているせいなのかもしれない。
世の中には男性に選ばれる女性もいれば、男性を選びたがる私のような女性もいる。同じ女なのに恋愛の待ち時間はかなり違う。

男性に見つけてもらえるまで静かに自分の身体を磨きながら待てる女性と、見つけてもらえるまで待ってなどいられず、自分から男性を探しに行ってしまう私。待っていたほうがいいことがいっぱいありそうなのに、どうして私は、こんなにもせっかちなのだろう。


(更新 2009/6/11 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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