第1296回 砂漠みたいな心のオアシスでした 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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第1296回 砂漠みたいな心のオアシスでした

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 子供が小さいうちは遊び相手にもなるし情緒を育てるとも耳にしたので、犬を飼うことにしました。17年前のことです。雌のシーズー犬で、シーコと自然に名前も決まりました。

 シーコ(写真)は下の歯が前に突き出し、お世辞にも可愛いとはいえず、近所の意地悪オバサンに「変な顔」と、笑われたことも。

 そんなシーコを、私は自分の幼いころと重ね合わせたところがあります。実は私も下の歯が前に出ていて、矯正歯科に通っていました。シーコを見ては、歯医者に連れていってくれた母に感謝の念を持ったものでした。

 当のシーコは、本当に手のかからない、おとなしく遠慮深い犬でした。ほとんど吠えないし、何か要求があるときもジッと見てシッポを振るだけ。散歩に行って他の犬がいても全く無関心。でも、気になるところでは、まだ?と思うほどクンクンして動かない頑固さもありました。

 シーコが15歳の夏、ふと腹を触るとしこりがあり、食欲がないのはこのせいだったのかと思いました。病院へ連れていくと、いきなりの余命宣告で頭が真っ白。でも、散歩にはいつも通り行っていました。

 ある日、いつものように散歩に連れ出し、ふと気がつくとリードだけで、シーコがいません。アレッと振り返ると、通ってきたパチンコ屋の駐車場で、お座りしてジッと私のほうを見て、シッポを振っているのです。体も細くなってきたけど、首回りもやせちゃったんだと悲しかった。

 この一件を子供たちに話すと、シーコらしいねと、妙に納得していました。
 そして、2年前のお盆、8月13日にシーコは天国へ。

 現在、ペット不可物件に住んでみて、つくづくシーコには砂漠みたいな心にオアシスを作ってもらっていたんだと感じるのです。

(岩田由紀子さん 愛知県/56歳/自営業)


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(更新 2018/10/18 )


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