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初めて飼ったヨークシャーテリアがこの世を去ってから、もう犬は飼わないと決めていた。しかし、ふらりと立ち寄ったペットショップで、一緒にいた夫にではなく、私に抱きついてきたこの子(ノエル、13歳、雄、写真)に会った途端、その決心は崩れた。
生後6カ月になってもまだ売れ残っていたというのも、飼う気持ちを後押ししたのかもしれない。
初めてわが家に来たときには全身で喜びを表し、爪で引っ掻くわ、脚で蹴るわで少々狂暴だった。床に下ろした途端、リビングに猛ダッシュし、座っていた娘の顔めがけて飛びついた。
長い間ペットショップにいたせいか、人に抱っこされることに慣れておらず、甘えることも下手だった。
それでも可愛くて可愛くて、毎日惜しみなく愛情をかけていたら、お利口で人好きな犬に育った。
散歩していても、犬ではなく、飼い主さんのほうに寄っていく。それも、中年のおじ様が一番好きらしい。若い頃は2時間以上もスタスタと歩き、よく散歩した。
ふだんは抱っこをされるのが大嫌いで嫌がるくせに、花火や雷などの大きい音を聞いた途端に怖がり、ものすごい勢いで抱っこをせがんできた。抱っこするとぶるぶる震え、爪を立てて肩によじ登ろうとするので、腕に引っ掻き傷がたくさんついたものだ。
しかし、そんなノエルもおじいちゃんになって耳も遠くなり、鼻も鈍感になってしまった。最近では寝ていることが多くなり、昔はあれだけ歩いた散歩も近所をチョロチョロ歩くだけだ。
段差も越えられなくなったため、庭のトイレに行くときには私たちにおとなしく抱っこされるようになった。あれだけ抱っこを嫌がっていたのに、チャッカリしているなと思うが、可愛いので憎めないのである。
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