マンガ/上大岡トメ
マンガ/上大岡トメ

 わたしの祖父母は、孫や父母のために、あるだけお金を使った。

 それだけでなく、自分が欲しいものも、ちゃんと買っていた。

 そんな祖父母の口癖は、

「葬式代だけは、ちゃんと残している」

「生きているうちに誰かのために使ったら『ありがとう』って、言ってもらえるけれど、死んで残していても、『ありがとう』って言ってもらってもわからへん。そんなのイヤやわ」

 気前良くて、明るい祖父母だった。

 そんな祖父母だから、わたしもわたしの家族も長生きしててほしかった。

 寝込んでも、ボケても、「早く死んでほしい」なんて、誰ひとり思わなかった。

 それどころか、

「全部、わたしらに使ってくれても、葬式くらいあげてあげるよ」

 なんて言って、笑っていた。

 どうもその血筋なのか、母も言う。

「葬式代は残しているけれど、預金は、あんたらのために使ったわ」

 そして、いつでも気前が良い。

 自分には、そんなにお金を使わないけれど、孫やわたしたち兄弟のためには使ってくれる。

「お金なんて、持って死ねないし……」

「ボケたら、適当に財産処分して、看病して」

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