無事、スイスのロカルノから帰国しました。
 戻ってきた途端、台風による豪雨と地震といういかにも日本的なアクシデントに驚かされましたが。
 
 今年のスイス・ロカルノ映画祭の中の「MANGA IMPACT」という企画で日本のアニメの大々的な特集を組むため、日本のアニメ関係者が多数呼ばれました。
 その中にガイナックス特集もあり、『天元突破グレンラガン』の劇場版二本とテレビシリーズ第一話も上映されます。現地での舞台挨拶もあるので、ガイナックスチームに紛れ込んで僕も家内と一緒に同行させてもらいました。

 マッジョーレ湖の北岸に面したロカルノの町は、ミラノの空港から車で1時間半ほどです。スイスと聞いて涼しいのかなと思っていたら、天気がよいと日中は30℃を超える日もざら。いや、これはかなり暑い。料理はピッツァとパスタがメイン。言葉もイタリア語。ほぼイタリアと言ってもいい雰囲気です。
 
 到着したのは夜。翌日は映画祭関係のイベントはなく終日フリーということで、市内観光でもしましょうと、同行の今石洋之(いまいしひろゆき)夫妻や「グレンラガン」の副監督の大塚さんや宣伝プロデューサーである真鍋さん等、ガイナックスの皆さんと一緒に町に繰り出しました。

 とりあえず、スイスに来たからにはアルプスを見ようと、湖に迫るようにそびえている山の頂上をめざします。
 ケーブルカー、ロープウェー、リフトと乗り継いで頂上にたどり着くと、そこは360度見渡せる絶景。

 抜けるような青空にアルプスの険しい稜線(りょうせん)が浮かび上がり、眼下に広がるマッジョーレ湖。山腹から飛び立つパラグライダーすら見下ろせます。天気がよかったおかげで、彼方にはマッターホルンらしきものも見えました。

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彼方に広がるアルプスの山々。尖っているのはマッターホルン?

 ケーブルカーに乗っただけで足がすくみ、リフトなどとんでもない、絶対いやだと言っていた高所恐怖症のガイナックスの女性スタッフも、みんなの説得でここまでたどり着いたら、その景色の美しさに目を見張っていました。

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山頂へのリフトと眼下に広がるマッジョーレ湖

 ところが、こんなところでも携帯はつながるのですね。
「あれ、マッターホルンだよ」とみんな感動している中、仕事のメールが届いた家内が「いきなり日本の現実に戻された」とちょっと凹んでるのを見ると、便利なのもよしあしだなと思ってしまいます。
   
 ロカルノ映画祭の名物は町の中央広場ピアッザ・グランデに巨大スクリーンを張った屋外上映スペース。8000人が一度に観られるというから大したものです。その周りにはリストランテが並び、食事しながら映画を観ることもできる。

 いいなあ、こういう開放感に満ちた上映って。
 子供の頃、夏休みに広場で屋外上映会があったのですが、それを思い出します。

 豹が映画祭のシンボルマークなので、町の至る所に黒と黄色の豹柄のディスプレイがあります。

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ピアッザ・グランデにびっしりと置かれた観客用の椅子。黒と黄色の椅子を配置して豹柄のイメージにしているのがこだわりだとか

市内を映画祭専用のシャトルバスが回ってるのですが、これも豹柄が目印の黄色い自動車。普段は郵便局の車だとか。スイスでは郵便局のシンボルカラーは黄色なのですね。これが市内に点在する上映施設を回って行くのです。
 雨が降った場合に、屋外会場のピアッザ・グランデから代わりの会場に移動するのもこのシャトルバスの仕事。
 でも、代わりの会場は3000人しかは入らないらしい。
 ちゃんと入場料を取っているので入れなかった人達を返すわけにもいかないし、大変だろうなと思うのですが、これまでもなんとかなってきたとのこと。62回もやってるのに大きなトラブルはなかったのがさすがはヨーロッパというべきか。こういうところはざっくりしてますね。

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ピアッザ・グランデでの開会式。映像はプロジェクターとは思えないほどクリア

 さて、翌日は『グレンラガン』劇場版に先駆けて、テレビシリーズ第一話の上映です。
 ピアッザ・グランデではなく、町の中央からは少し離れた会場になります。
 監督の今石さんとシリーズ構成・脚本担当の僕が、上映前に簡単な挨拶をするということは聞いていたのですが、ここでまた随分と大ざっぱな目に会ってしまいます。
 その話は、次回に。