【米ビルボード・アルバム・チャート】リル・ウージー・ヴァート2作連続首位、ジェネイ・アイコ/NCT 127/ミーガンTOP10デビュー
【米ビルボード・アルバム・チャート】リル・ウージー・ヴァート2作連続首位、ジェネイ・アイコ/NCT 127/ミーガンTOP10デビュー

 リル・ウージー・ヴァートの新作『エターナル・アテイク』が初登場1位を獲得した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 本作は、2017年8月リリースのデビュー・アルバム『ラヴ・イズ・レイジ2』から約2年半ぶりに発表した、2作目のスタジオ・アルバム。その前作も同チャート1位を獲得していて、2作連続の快挙を達成した。アメリカのみならず、同1位に輝いたオーストラリアや、ノルウェー(2位)、イギリス(3位)などの主要国でも、初のTOP10入りを果たしている。

 『エターナル・アテイク』の初動ユニットは288,000で、そのうちストリーミングによるユニット数(SEA)が278,000、楽曲単体によるユニット数(TEA)が2,000、アルバムの純粋な売上枚数はわずか9,000枚だった。2020年度の週間ユニット数としては、2週前にBTSの『Map of the Soul:7』が記録した422,000に次ぐ、2番目に高い記録となる。

 週間ストリーミング数としては2020年度トップで、初週だけで4億回という凄まじい数字をたたき出した。週間視聴回数としては過去4番目に高い記録で、4億回を超えたのは2018年10月13日付チャートでリル・ウェインの『カーターV』が記録した4億3,300万回以来、約1年半ぶりとなる。歴代トップは2018年7月14日付チャートでドレイクの『スコーピオン』が記録した、7億4,600万回。なお、今年の1月からアルバムの集計法にオン・デマンドのオーディオ/ビデオ・ストリーミング・ポイントが加算されることになったため、以前とは算出が異なる。

 先週1位にデビューしたリル・ベイビーの『マイ・ターン』(今週4位)に続き、これで2週連続“リル”の付くアーティストが1位を獲得したことになる。2020年度では、2月15日付チャートで『フューネラル』を1位に送り込んだリル・ウェイン含む3組目。意外ではあるが、リル・ヨッティやリル・ナズ・Xといった人気ラッパーの最高位は2位に留まっている。“Lil”表記ではないが、リトル・スティーヴィー・ワンダーとして活動していたスティーヴィー・ワンダーの『12歳の天才』(1963年)も、首位獲得を果たしている。

 『エターナル・アテイク』は、発売日の1週間後となる3月13日に14曲が追加されたデラックス・エディションがリリースされたため、高ストリーミングを記録して次週のアルバム・チャートでも1位をキープする可能性が高い。

 今週2位に初登場したのは、R&Bシンガーのジェネイ・アイコによる新作『Chilombo』。最高5位を記録した前作『Trip』(2017年)から2年半ぶり、3作目となるスタジオ・アルバムで、2014年リリースのデビュー作『Souled Out』(最高3位)を上回る自己最高位更新となった。2013年発売のEP『Sail Out』では最高8位を記録している彼女は、ソロとして4作目のTOP10入りを果たした。2016年のビッグ・ショーンとのコラボレーション・アルバム『Twenty88』(5位)を含むと、通算5作目のTOP10入りとなる。

 『Chilombo』の初動ユニットは152,000で、そのうち112,000がストリーミングによるユニット数(SEA)、2,000が楽曲単体によるユニット数(TEA)、アルバムの売上枚数は38,000枚だった。セールスには、ライブ・チケットの償還も含まれている。

 先週2位に初登場したバッド・バニーの『YHLQMDLG』は3位にダウンしたが、今週も111,000ユニットと高水準をキープ。また、リル・ベイビーの『マイ・ターン』も104,000ユニットを獲得し、いずれも登場2週目にして10万ユニット超えを達成した。

 5位にデビューしたのは、韓国のボーイズ・グループ=NCT 127の『NCT #127: Neo-Zone』。週間ユニットは87,000で、そのうちアルバムのセールスが83,000枚だった。同チャートでのこれまでの最高位は、昨年5月にリリースしたEP『We Are Superhuman』の11位で、それを上回る自己最高位更新、初のTOP10入りとなる。

 今週10位には、ミーガン・ジー・スタリオンの新EP『Suga』が初登場。初動ユニットは41,000で、そのうちの36,000がストリーミングによるユニット数だった。最高位更新には至らなかったが、2019年6月1日付チャートで同10位を記録したデビュー・アルバム『フィーバー』に続く、2作連続のTOP10入りを果たしている。アルバムからは、米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で31位をマークした「B.I.T.C.H.」がスマッシュ・ヒットし、プロモーションに繋げた。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、3月20日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『エターナル・アテイク』リル・ウージー・ヴァート
2位『Chilombo』ジェネイ・アイコ
3位『YHLQMDLG』バッド・バニー
4位『マイ・ターン』リル・ベイビー
5位『NCT #127: Neo-Zone』NCT 127
6位『プリーズ・エクスキューズ・ミー・フォー・ビーイング・アンチソーシャル』ロディ・リッチ
7位『ハリウッズ・ブリーディング』ポスト・マローン
8位『Map of the Soul: 7』BTS
9位『チェンジズ』ジャスティン・ビーバー
10位『Suga』ミーガン・ジー・スタリオン