ニルヴァーナのロゴを盗用したと訴えられたマーク・ジェイコブスが反訴
ニルヴァーナのロゴを盗用したと訴えられたマーク・ジェイコブスが反訴

 ニルヴァーナのロゴとして知られるスマイル・マークを、Tシャツのデザインに無断で使用したとして、ファッション・ブランドのマーク・ジェイコブスが訴えられている裁判で、棄却の申し立てが認められなかったブランド側が反訴を提起した。

 米カリフォルニア州連邦地裁の判事は2019年3月、ニルヴァーナがデザインの著作権所有者であることと、問題となっているマーク・ジェイコブスのTシャツのデザインがロゴと酷似していることを認め、ブランド側が提出した告訴の棄却請求を退けていた。また、ブランド側が申し立てていた所有権の変遷に関する異議に関しても、それ以降の手続きで対処すべきだとし、スマイル・マークのデザインが実際に世に出た時期などに関する弁護側の答弁も裁判に委ねるべきと判断した。

 ロゴが制作された経緯を明らかにするため、マーク・ジェイコブスの弁護団は、ニルヴァーナのメンバーだったデイヴ・グロール(現フー・ファイターズ)とクリス・ノヴォセリックに証言させ、二人とも誰がロゴを創作したのか覚えていないと述べたものの、宣誓証言の機会が2回に限られていたことに不満を抱いていた。

 一方ニルヴァーナの弁護団は、ブランド側が著作権登録書や譲渡証書に名前が記載されている人物たちではなく、著名人を尋問することに集中していると反論した上で、グロールとノヴォセリックに対しても、故カート・コバーンがロゴの制作者だったと考えているか、またその答えの根拠について質問されることがなかったと指摘した。

 だがブランド側は、スマイル・マークが創作された経緯を直接知る者が生存していないことや、ニルヴァーナ側が著作権侵害の根拠としているロゴの著作権登録にいくつか不備があることなどを理由に反訴した。

 ニルヴァーナの中心的人物だったコバーンは死去しているため証言できないが、ロゴの著作権は有効であると、ある程度推定される。今後は著作権の有効性や、どちら側に立証責任があるかなどに争点がシフトしそうだ。