スティーヴン・タイラー、日本初のソロ公演がスタート「エアロスミスは好きかい? 僕も大好きさ!」
スティーヴン・タイラー、日本初のソロ公演がスタート「エアロスミスは好きかい? 僕も大好きさ!」

 4月8日エアロスミスのフロントマンである、スティーヴン・タイラーのソロとしては初となるジャパン・ツアー初日をZepp Osaka Baysideで迎えた。

 エアロスミスであればアリーナ規模でのライブしか行わないが、今回はライブハウス規模でスティーヴン・タイラーを拝めるとあって、チケットはソールドアウト。天気はあいにくの雨模様だったが、朝から大勢のファンが今や遅しと会場に集まっていた。

 ライブは18時の定刻を過ぎたあたりで暗転し、スティーヴン・タイラーのヒストリーとも言えるオープニング映像が流れると、早速エアロスミスの大ヒット曲「Sweet Emotion」からスタート。オーディエンスをド頭から熱狂の渦に巻き込んでいくが、曲の後半ではジャム・セッション・パートを盛り込むなど、まさに今回帯同させているLOVING MARY BANDの実力を見せつけるかのようなパフォーマンスで観客を圧倒する。

 続いて間髪空けずに大ヒットバラード「Cryin’」へ。エアロスミスを代表する名バラードがいつもとは違い、LOVING MARY BANDによりさらに甘く切なく響きわたる。

 MCでは「ドウモアリガトウゴザイマス」と流暢な日本語で挨拶すると「エアロスミスは好きかい? 僕も大好きさ!」といつものスティーヴン節を連発。そしてI’m Down/Oh! Darlin~Come Togetherとビートルズのカバーを立て続けに演奏。まさにスティーヴンのルーツに触れる豪華過ぎる選曲の後、MCでナッシュビルでのLOVING MARY BANDのギタリスト、マーティーとの出会いやソロ曲を制作するに至った経緯を語り、宇宙戦艦ヤマトの主題歌となったソロ曲「Love Lives」を演奏する。

 その後、再びエアロスミスのモンスター・ヒット曲「Jaded」からソロ曲「Love is Your Name」へと続いていくのだが、そこではLOVING MARY BAND のメンバーがそれぞれギターやバンジョー、ピアノを自在にあやつりマルチプレイヤーぶりを見せつけると、続いてジャニス・ジョプリンのカバーである「Mercedes Benz」「Piece of My Heart」を立て続けにプレイ。そこではスティーヴンとLOVING MARY BANDの女性ベーシストとの掛け合いが始まり、若さによるパワーと経験による重みがせめぎ合う。

 そしてMCで「次の曲は今のアメリカを象徴している曲」とエアロスミスの代表曲「Living on the Edge」のイントロが流れると、会場はさらにヒートアップ。LOVING MARYはギターのソロパート含めて音源に忠実な演奏を披露した。もしかするとここ最近のエアロスミスでは見ることのできない原曲に忠実なパフォーマンスであったかもしれない。

 その後ソロ曲「We're All Somebody From Somewhere」では歌詞で「俺はたい焼きが好きなんだ」と英語で歌詞をアレンジするなどのお茶目な一面をみせつつ、MCで次の日本武道館でのライブに触れ、77年初めて武道館でライブを行った事、次の公演が思い出深いものだと語り名バラード「What it Takes」へと続いていく。そして「My Own Worst Enemy」からエアロスミスの代表曲「Dream on」のピアノの弾き語りが始まるとオーディエンスからは大歓声が巻き起こった。熱気冷めやらぬまま「Train Kept A-Rollin’」を披露し本編が終了する。

 観客からのアンコールがはじまりほどなくして再びステージに戻ってきたスティーヴン。ソロアルバムでもセルフ・カバーとして収録されている「Janie’s Got a Gun」が始まるが、この曲のアレンジがまたエアロスミスでは考えられないようなダークなアレンジが要所で施されている。続いてソロ曲「Only Heaven」を披露すると、袖からスタッフがジャンベをスティーヴンの前に置いたかと思うとジャム・セッションがスタート。パーカッシヴなビートにオーディエンスもノリノリで踊っていると待ちに待った代表曲「Walk This Way」のイントロが。まさに今回のハイライトとも言える瞬間で、オーディエンスのテンションは最高潮となった。

 そしてそのまま次の曲が始まったかと思うとなんとレッド・ツェッペリンのカバー「Whole Lotta Love」。ロバート・プラントのパートをスティーヴン・タイラーが歌うという、ファンにとってはよだれもののパフォーマンスでジャパン・ツアー初日を締めくくった。

 スティーヴン・タイラー日本初のソロ公演は、まさにスティーヴン自身が肩の力を抜き、より歌う事を楽しみながらその雰囲気をファンと共有するパーティーのようなものであった。4月11日の日本武道館公演では、我々にいったいどんな体験をさせてくれるのだろうか。

Text:大抜卓人


◎公演情報
【Steven Tyler LIVE IN JAPAN 2017】
2017年4月11日(火) 日本武道館
チケット:S指定席 13,000 円(tax in.)
A指定席 11,000円 (tax in.) ※Soldout