喜び、慟哭、決断に引き込まれるドラマ『ロミオとジュリエット』英国ロイヤル・バレエ団3年振りの来日中
喜び、慟哭、決断に引き込まれるドラマ『ロミオとジュリエット』英国ロイヤル・バレエ団3年振りの来日中

 英国ロイヤル・バレエ団が3年ぶりの来日中だ。今回は『ロミオとジュリエット』『ジゼル』の2演目の上演で、それぞれが5公演と4公演と長丁場。しかも毎回主役カップルが違い、どのペアも見たくなる贅沢な来日公演となっている。

 没後400年の記念年となる今年、シェイクスピアの本場である英国ロイヤル・バレエ団で見るマクミラン版での本家本元『ロミオとジュリエット』は格別だ。演劇の国イギリスの面目躍如たる、その自然な演技とクラシカルな所作は、まるで台詞を伴っているかのように明確に、感情とストーリーに客席全体を引き込んでいく力を持っている。

 6月17日のジュリエットには、急遽来日がキャンセルになったヤーナ・サレンコの代役として、来季からプリンシパルに昇進が決まったばかりの新星フランチェスカ・ヘイワードが出演。瑞々しく可憐な少女が恋を知ってしなやかに踊り紡ぐドラマは、引き込まれずにはおれない魅力があった。思いもかけず一足先にスターの誕生を体感出来た満杯の客席は、とても幸運だったのではないだろうか。

 ロミオ役のスティーヴン・マックレーは2010年に吉田都の相手役としても来日しており、英国ロイヤル・バレエ団を代表するスーパースター。その若々しさとやんちゃさ、可愛らしさは変わらず健在で、ジュリエットからの手紙に心躍らせる連続回転のシーンでは、演技と振付が一体となりロミオの喜びの感情が強く伝わり、客席からは温かい微笑みの声が漏れていた。

 男性達の戦いのシーンでは、音楽のテンポに合わせた絶妙の演出と分かりつつも、その迫真さに息を呑んでしまうほど。ジュリエットの父親、母親、ロミオの友人たちや広場に集まる若者たちなど、役付はもちろんのこと、脇役それぞれにもストーリーを想起させる演出と演技が、随所に光る名ドラマとしての舞台だった。

 英国ロイヤル・バレエ団日本公演は、現在『ロミオとジュリエット』を終え、続いて6月22日から26日まで『ジゼル』が開催される。24日には、11年振りに日本人としてプリンシパルに昇進した高田茜も、パ・ド・シス役で出演する。世界的人気を誇るバレエ団の「今」を余すところなく堪能出来るこの機会を逃さず、足を運びたい。text by yokano / photo by Kiyonori Hasegawa

◎公演概要『英国ロイヤル・バレエ団日本公演』
『ロミオとジュリエット』全3幕
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:ケネス・マクミラン
6月16日(木)18:30開演
6月17日(金)18:30開演
6月18日(土)13:00開演
6月18日(土)18:00開演
6月19日(日)13:00開演

『ジゼル』全2幕
音楽:アドルフ・アダン
編曲:ジョゼフ・ホロヴィッツ
振付:マリウス・プティパ
6月22日(水)19:00開演
6月24日(金)19:00開演
6月25日(土)14:00開演
6月26日(日)14:00開演

more info:http://www.nbs.or.jp/stages/2016/royalballet/index.html