娯楽のオプションが多過ぎたり、経済の動向がはっきりしなくてもオーストラリアでは昨年、人の足がショーから遠のくことはなかったようだ。Live Performance Australia(LPA:ライブ・パフォーマンス・オーストラリア)の新たな研究結果により明らかになった。

 LPA最新の第11回“Ticket Attendance and Revenue Survey 2014(チケットの動員数と収益調査)”によると、同国のライブ産業は依然として強く、昨年のチケット発行数1,854万枚によりオーストラリア経済に15億1,000万オーストラリアドル(約1,250億円)をもたらしたという。

 LPAのエブリン・リチャードソンCEOは、前年比でチケット売り上げ収益は2%、観客動員数は3.4%増加したものの、チケットの平均単価が下がり、ライブビジネスは“消費意欲の低下”に取り組んでいたことを認めている。

 新規のデータ提供者を除く同一条件において、2013年から2014年の実質ベースでは収益(4.1%)と観客動員数(5%)でわずかに減少したとLPAは指摘している。

 「ライブ業界は相変わらず小売業や宿泊施設、飲食業などの強力な他市場を凌いでおり、スポーツイベントに参加する人よりもライブ・パフォーマンスを観に行く人の方が毎年多いのです」とリチャードソンは話す。

 2014年はオーストラリアの音楽ファンにとって、国中のアリーナ会場を満員にするケイティ・ペリー、ザ・ローリング・ストーンズ、ブルース・スプリングスティーンなど、よりどりみどりだった。しかしながら、LPAは「どれも国内で48公演を行ったピンクの2013年のツアー規模には届かなかったため、2014年の結果が下回ったのだろう」と語る。また、2014年の興行収入に大きく影響したのは、キース・アーバン、ニック・ケイヴ、Bliss n Eso、Hunters & Collectors、ジミー・バーンズなどの国内アーティストをはじめ、エミネム、マイケル・ブーブレ、ジャスティン・ティンバーレイク、ロビー・ウィリアムス、カニエ・ウェストなどの海外アーティストのツアーを挙げている。

 LPAの今回の調査は、先月発表した“The Economic and Cultural Value of Live Music in Australia 2014(オーストラリアにおけるライブミュージックの経済的・文化的価値)”という調査報告に続くものだ。昨年のオーストラリアのライブミュージック部門が周囲の社会に157億オーストラリアドル(約1兆3,000万円)を供給したとしている。また同調査からは、2014年のライブがフルタイムおよびパートタイムで推定65,000の仕事を産出し、ライブミュージックに費やされたお金につき3ドルの利益が地域社会に還元されたことも確認できる。