ネパール ~グルン族の村を訪ねて~ 〈アサヒカメラ〉|AERA dot. (アエラドット)

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ネパール ~グルン族の村を訪ねて~

吉川美鶴アサヒカメラ
ラプラック村。標高2300m(2015年12月)

ラプラック村。標高2300m(2015年12月)

女性たちみんなで会場の飾りを作っていた。(2015年12月)

女性たちみんなで会場の飾りを作っていた。(2015年12月)

今日の太鼓役の少年たち(2015年12月)

今日の太鼓役の少年たち(2015年12月)

この日のために外部からもたくさんの人が集まった。(2015年12月)

この日のために外部からもたくさんの人が集まった。(2015年12月)

ラマ僧は何時間も太鼓をたたきながら踊っていた(2015年12月)

ラマ僧は何時間も太鼓をたたきながら踊っていた(2015年12月)

 みなさんはネパールと聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
 釈迦生誕の地であり、世界最高峰のエベレストが有名ですが、ネパールは8000mを超える山が8つもあるんです。
 また、それ以外にも世界文化遺産の「カトマンドゥ盆地」、世界自然遺産の「チトワン国立公園」、美しい村や小川、稀少な野鳥など見所がたくさんあります。

 ネパール訪問2回目の筆者は、ネパールでドキュメンタリー映画を個人で製作している写真家の石川梵さんの紹介で、観光地から外れたヒマラヤ中腹の山岳地帯に住むグルン族の村「ラプラック」を訪ねました。滞在中は偶然にも、グルン族の葬儀が執り行われました。ネットやガイドブックには載っていない、少し違ったネパールをお届けします。

【フォトギャラリーはこちら】

*  *  *
 ラプラック村の人口は3500人前後。2015年4月25日にマグニチュード7.8の巨大地震で村々が壊滅状態に。全壊した家々の修復は進んでいたが、地滑りの危険から村を別の場所へ移動させることになった。
 今、村人たちはラプラック村から歩いて1時間半かかる避難キャンプ地のグプシー(標高2700m)と村とを往復する生活をおくっている。そして、新しいラプラック村(グプシー)の再建のめどはたっていない……。

ネパール 天空の村 ラプラックを救う会 - Save Laprak
https://www.facebook.com/lapraknepal/
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 ラプラックまではカトマンズから2日かかる。1日目はバスで9時間の移動。バスを降り、歩いて1時間先の村で1泊。翌日10時間かけて山を2000m登ると避難キャンプ地(グプシー)が見えてきた。そこから1時間半下って、ようやくラプラック村に到着した。

 ガイドに案内されて「ヤム・クマリ ゲストハウス」に宿泊することになった。話を聞くと、2015年4月25日にマグニチュード7.8の巨大地震でヤム・クマリは旦那さんを失った。そして、私が滞在する間に葬儀が行われるという。(ラマ僧が決めた葬儀日2015年12月26日夜~29日朝 グルン族が亡くなった時は、必ず村人全員で葬儀を3日間行う)これも何かご縁のようなものを感じてしまった。

 ラプラックの村は同じような家と高い段差の小道が多く、迷路のようだった。村の中を10分も歩くと、宿に戻れなくなり、いつも人に道を尋ねて帰っていた。

 そういえば、世界最強と言われているネパールのグルカ兵が山岳民族出身なのは、こういった山の生活で育ってきたので、自然と足腰が鍛えられ、過酷な状況下でも順応できるんだなぁ。と、思いました。

 山で数日滞在していて、大きい子どもが小さい子どもの顔や髪を洗ってあげたり、抱っこしてる姿をよく見かけた。もちろん子供同士で遊ぶ姿もあるけど、男の子も女の子もよく働き、ちゃんと自立してるように見えた。動きの速さや助け合い、気遣いなど、ラプラック村の人から学ぶことが多かった。そして、とにかくみんな優しかった。

 お葬式当日。朝起きると、いつも見ない人たちがキッチンで料理していた。日本では他人との初対面時は心の壁がかなり厚いが、村では知らない人と知っている人の区別が薄いように感じた。それは人を受け入れる心の広さと温かさ、強さを持ち合わせているからかもしれない。

 宿はいつもと違って人の出入りが多く、料理を作る人、飾りをを作る人、飾り付けする人など子どもから大人までみんなでお葬式の準備で忙しそうだった。

 夜になると、街に出てしまった若者や隣りの村人などがどんどん集まってきて、メインとなる2日目は会場は人であふれていた。そして、たくさんの人が故人を惜しんでいた……。

 村をあげてのイベントは、毎日聞こえる太鼓やシンバルの音とラマ僧のお経、みんなが同じ物を食べ、人と話し、踊ったりお酒を飲んだり、とても貴重な3日間だった。終わる頃には村全体が一つの家族に見えていた。いつの間にか自分もそこの一員になっている気がした。

(文/写真・吉川美鶴)


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