ボーイフレンドのように「GRくん」と呼んで愛用している、2台のリコーGR DIGITAL。左のラバーは特注で「T.S」のイニシャルが入っている。カメラのデザインは地味なので、友だち感覚でかわいくしているという。また星の撮影では液晶画面は見づらいので、専用の外部ファインダー、GV-2を装着している
ボーイフレンドのように「GRくん」と呼んで愛用している、2台のリコーGR DIGITAL。左のラバーは特注で「T.S」のイニシャルが入っている。カメラのデザインは地味なので、友だち感覚でかわいくしているという。また星の撮影では液晶画面は見づらいので、専用の外部ファインダー、GV-2を装着している
東京都青ケ島で、満天の星空を背景に撮影。三脚をつけて構図を決め、30秒のセルフタイマーを設定して自ら画角に入った。自分撮りが好きで、作品として自信があるという
東京都青ケ島で、満天の星空を背景に撮影。三脚をつけて構図を決め、30秒のセルフタイマーを設定して自ら画角に入った。自分撮りが好きで、作品として自信があるという
船上から撮影した青ケ島の夕日。シルエットとなった入り江など構図のバランスがよく、色合いも美しい
船上から撮影した青ケ島の夕日。シルエットとなった入り江など構図のバランスがよく、色合いも美しい

――いつからカメラ好きに?

 高校生からです。HIROMIXさんの影響で、最初に買ったのがコニカ ビッグミニ。その次がリコーで、平らなデザインが気に入ったんです。でも、色が地味だからとペンキで塗装したら壊れちゃって(笑)。カメラって繊細なんだと初めて知りました。それまではおもちゃみたいな感覚でしたから。

 学校がデザイン科だったので一眼レフを使った写真の実習があって、現像もしていました。同じ被写体でも、構図やアングルを変えると劇的に仕上がりが変わる。「すごい! 写真って、ただの記念じゃない。表現方法のひとつなんだ」と。自分なりに工夫できるのも楽しくて、ピーマンやリンゴの表面に油を塗って、生きているような質感を出してみたり……。また天文部に所属していたので、そこでは雲や星を撮りました。試行錯誤の連続で、合宿ではほとんど寝ないで星を撮影するんですが何しろ技術がない。顧問の先生もカメラに詳しくなくて、まともに撮れる人がいないんですよ(笑)。三脚を立ててカメラを夜空に向けるまではいいんですけど、現像したら真っ白で、失敗するたびに「私、才能ないんだ」ってガッカリ。値段の高い高感度フィルムをむだにするのも悲しかった。芸能界に入るとチェキにはまり、きれいなロケ地やかわいい衣装を着るたびに感激して撮っていました。カシオQV-10は重かったけど、その場で見られるのが画期的ですぐ飛びつきましたね。初のデジカメです。

――今はリコーGR DIGITAL。

 GR歴はもう5年くらい。カメラ友だちの坂崎幸之助さん(THE ALFFEE)が、「シノハラは絶対、これ好きだから」と断言されるんですよ。で、調べてみたら、コンパクトなのにレンズも明るくて開放が効いて、星の撮影ができる。そこに運命を感じました(笑)。「まともに撮れなかった星空がこれでやっと」って。昨年12月、青ケ島ですてきな一枚が撮れました。夜中の2時くらいに星空があまりにきれいだったので三脚をつけて、セルフタイマーを設定し、自分もひょこっと入ってみたんです。いろんな方が「ポスターみたい」ってほめてくださいます。でもこんな写真が撮れたのは、カメラの進歩のおかげ。今のは3台目で、ホワイトエディション。かわいいケースに入れておめかししていると持っているだけで楽しいし、小さいからカメラを向けた相手が緊張しないのもいいですね。どんなときでも持ち歩いていて、いちばんのお気に入りです。ボーイフレンドみたいに「GRくん」って呼んでます。(笑)

――人物と風景、被写体としてはどちらが好きですか。

 同じくらい好きです。景色だけなら上手に撮れる人がたくさんいますけど、景色と自分撮りの合わせ技なら、自信があります(笑)。ブログ用のポートレートはレリーズを使って、自分で撮っています。もう、作品づくりですね。ファッションの好きな方が楽しみに見てくださるので、中途半端なものは出したくないんです。その成果もあってか、ほぼイメージした画になります。高校の授業で習ったアングルなどの知識がいま役立ってますね。

 また絶妙のタイミングで、みんなのいい笑顔を撮る自信もあります。そして相手が忘れたころに、突然プレゼントするのも好きなんです(笑)。シールをベタベタ貼ったり、絵を描いたりしたものをフレームに入れて差し上げるんです。写真はメッセージだと思っているので、撮影したときの気持ちが相手に伝わるようにしたいんです。

※このインタビューは「アサヒカメラ 2012年10月増大号」に掲載されたものです