――蛭子さんにとって、麻雀の面白さとは?
競艇とかは『偶然当たった』というのがあるけれど、麻雀ではそれがあまりないんです。頭を使わないと勝てない。そこが麻雀の面白さですよね。勝ったらやっぱりうれしいし、負けたら悔しい。でもたとえ負けたとしても、帰るときは『面白かった』と思う。勝ったときはその気持ちがますます強くなる。競艇だったら、大負けして泣きながら帰ることもあります。風で涙が目にしみて(笑)。
■いま明かされる20年前の「事件の真相」
――麻雀にのめり込みすぎて“大きな失敗”も経験したとか。
20年くらい前、麻雀雑誌で漫画の連載をしていたんです。その漫画で、いかにもお金を賭けているかのように、「円」をやりとりしている場面を書いたんで。そしたら、警察から注意された。そこでやめとけばいいのに、次は「円」を「点」にして書いた。たぶん反省していないと思われたんじゃないかな……。ある日、娘との待ち合わせまでに2、3時間あったので新宿の雀荘で卓を囲んでいたら、警察がやってきて賭け麻雀の現行犯で捕まっちゃった。
※1998年、麻雀賭博で現行犯で逮捕、その後約3カ月間タレント活動を自粛した。逮捕後の記者会見では、「もう二度とギャンブルはしません。賭けてもいいです」との名言も放った。
――それは大変でしたね。最近はどれくらいの頻度で雀荘に足を運んでいますか?
今はほとんど行っていないんです。捕まったときのトラウマですかね(笑)。だから最近は、麻雀大会に出てもボロ負けですよ。このあいだもインターネットの麻雀番組に参加したんですが、芸人さんやグラビアアイドルの人たちにも負けて、ビリだったんです。やっぱり麻雀はやってないと腕が鈍ってしまいますね。しかも次の日も競艇でもボロ負けしちゃって……。最近、ホントついてないです(笑)。
――健康マージャンにも最近は行っていない?
そうですね。ゲームには必ず勝ち負けがあって、勝った人が負けた人から何かをもらう、というのが面白いと思うんです。それがないと、どうしてもいい加減になる。やっぱり賭けるものがあるのとないのとでは、一生懸命になる度合いが違いますよ。
――成績によってフルーツ盛り合わせなどの賞品を出す健康マージャンもあるようです。
そういう賞品があるといいですね。でも、それも結局、参加者みんなで分けて食べるたりするんでしょうね。
――麻雀大会で優勝するためにも、また健康マージャンに行きたいと思いませんか?
そうですね。麻雀をよくやっていた頃に比べると、最近ずいぶん忘れっぽくなった気がします。やっぱり健康マージャン、やったほうがいいですかね? 飲まない・吸わない・“ちょっと賭ける”だったらもっといいんですが。ダメですかね(笑)。
――それはダメです。最後に、これから麻雀を始めるシニアの方に、強くなるためのアドバイスはありますか?
とりあえず、『ピンフ』のような易しい役で上がるようにするといいですね。それでも1位は取れますから。無理に高い役を狙わずに、まずは安い役でどんどん上がって“上がりグセ”をつけていくことです。といっても、俺自身が負けてばっかりなので全然アドバイスにならないと思うんですけど。
◯えびす・よしかず
1947年、長崎県出身。漫画家・タレント。86年劇団東京乾電池公演「台所の灯」に参加。脚本・監督作品映画「諌山節考」(2003年)、DVD「歌謡曲だよ、人生は~いとしのマックス」(2007年)
(文/岩佐陸生)