■必要なのは「最低限のお金」と「友だち」
自分自身ではない状態でいるということは、動物で言えば手足を縛るようなものです。犬とか猫に手足を縛って「戦ってこい」と言ってもムリですよね。自分自身の判断や感覚を信じないで戦っている状態はそれに近いわけです。
でも、ほとんどの人が自分を押し殺して戦ってしまっている。現代の社会システムのなかでは、人は自分自身を殺さないといけない。そうしないと生きられない社会になっています。
――そんななかで自分を見失わずに生き抜いていくにはどうすればいいのでしょうか?
「おかしい」と意識することです。システム全体が狂っていることを認識することが大事です。でも、そんなひどいシステムでも、それしかないから折り合いを多少はつけないと生きるための資源が手に入らない。どうやって最低限の折り合いをつけるかが問題です。
私はふたつのものが必要だと思います。「最低限のお金」と「友だち」です。まず、生きるうえで必要なお金が少なくてすむところに移動する。家賃が安いところや食料が手に入りやすいところに行って生活する。そのうえで、必要最低限の収入をなんとか手にいれる。そうすればとりあえず生きていくことができます。
そしてそれ以上に大事なのが、友だちをつくることです。友だちがいないと生きていくのは難しいです。少数でもいいから友だちをつくること。今はインターネットがあるから、つくろうと思えばどこにいても友だちをつくることができます。
「必要最低限の金」と「友だち」。このふたつがあれば、なんとかなる、というよりそれが人間が生きるということなのです。多くの人は、無意識に「自分のなかの最低限」を引き上げていってしまうので、ずっとお金が足りず、そのうえ、友だちがひとりもいません。
■学校なんて行かなくていい
――自分自身を生きている人と出会うにはどうすればいいのでしょうか?
そういう人は不登校やひきこもりのなかにいます。それ以外で探そうとしても基本的にいないです。いたとしても、それは特別に優れた人。そんな人はなかなか見つかりません。