記者の事例のように、著作物性の主張自体が弱くても、“強い弁護士”を味方につければ、一発逆転を狙うこともできるのだろうか?

「著作物性を主張するために、同じテーマの別の写真を集めて撮影の趣旨(ストーリー)を組み立てる必要がありますから、そのぶん、弁護士費用にも反映されることになるでしょう」

 写真の無断使用といった著作権侵害の場合、勝訴したとしても賠償金は決して多くはない。そのため、裁判までもつれ込む事例はまだまだ少なく、判例も蓄積されにくい。また、自分が当事者になった場合、苦労して判決を出すよりも双方が納得したうえでの「和解」に持ち込んだほうが、賠償金の支払いを受けられる可能性が高まる。そのため、どこまでやるか、という悩ましい問題がある。

 結局は本人次第ではあるものの、三平弁護士は「発信者情報開示請求」を行うだけでも意義はあると指摘する。

「開示請求すれば、相手に必ず通知が行きます。もし相手が初めて形式ばった通知書を受け取ったとすれば、ビックリするはず。自主的に写真を削除するかもしれません。そして、通知が頻繁になればなるほど、相手も『いつかは裁判になるかもしれない』と意識するようになります。こうした積み重ねが大きな抑止力につながると思います」

(文/吉川明子)

※「アサヒカメラ」8月号から抜粋

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