
6月27日のことだった。ポーランド戦を翌日に控えたボルゴグラードのメディアセンターでは、時ならぬ歓声が上がった。前回王者のドイツが最終戦で韓国に0-2で敗れ、グループステージ敗退が決まったのだった。
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判官贔屓はスポーツ界でもよくあること。ましてやドイツが、初めてグループステージで敗退する歴史的瞬間を目撃したのである。韓国はすでに2敗でグループステージ敗退が決まっていた。しかしこの1勝で、スタジアムで勝利を目撃したサポーターだけでなく、韓国国内で声援を送っていたファンも、ロシアワールドカップは忘れられない大会になったことだろう。
翻って日本である。練習後のミックスゾーンに現れた植田直通は、韓国の勝利をテレビで見たことを明かしつつ、「明日はわが身です。ドイツ(が負けるの)を見て、(日本は)まだ決まったわけではないし、気を引き締めないといけない」と緊張した面持ちで話していた。
植田の言葉を待つまでもなく、まだ日本はグループHの首位とはいえ突破を決めたわけではない。最終戦で敗れれば、他会場の結果にもよるが、韓国同様にロシアを去らねばならない。もしもそんなことにでもなったなら、韓国とは逆パターンでの最悪の結果だ。
こうして迎えたポーランド戦、序盤は静かなスタートだった。35度という暑さに加え、西野朗監督は6人のメンバーを入れ替えてきた。「目に見えないダメージがあった。3試合とも同じメンバーで戦えただろうが、相当ダメージがあるので同じような戦いはできなかった」と、指揮官はその理由を語った。
それでも日本は前半13分に今大会初スタメンの武藤嘉紀が決定的なシュートを放ってポーランドのゴールを脅かしたし、同じく初先発の岡崎慎司も精力的な動きで攻撃陣をリードした。ハーフタイム、西野監督の指示は「このままではダメだ。守り切る考えはここに置いてくれ。このままの状態はありえない」と、あくまでゴールにこだわった。
対するポーランドは最終戦を勝利で飾りたいため、後半に入ると3-4-3から4-4-2にシステムを変えて攻撃の圧力を増してきた。そして迎えた後半14分、左FKから吉田麻也のチームメート(サウサンプトン)であるDFヤン・ベドナレクが鮮やかなボレーで先制点を奪った。