人生初のお見合い話がきた。釣書を見る限りではお相手はかなりの高スペックの男性だ――ふとうつむいて、自らの胸元に目をやった。そこには、トウチャンを湘南の海に散骨した際、少しだけ残したお骨の粉末が内臓されたペンダントが光っている。肌身離さずつけている究極の未亡人アイテムで、口さがない友人からは「それって超非モテグッズじゃん。男はドン引きで誰も寄りつかないよ」などと言われているのだが、一周忌を過ぎてずいぶんたったのに、どうしても外すことが出来ない。「そうだよな。死んだ旦那の骨がそばで揺れているなんて、こんな乳、誰が揉むんじゃ」。
私にはやはり、お見合いは早すぎる。しかも、相手の方は真剣に結婚相手を探しているようだが、私は日々を楽しめる愛するパートナーは欲しいが、いわゆる「結婚願望」とは違う。心構えにズレがある状態でお見合いなんて、失礼極まりない。お見合い話で一瞬テンションは上がったが、やはりここまでにしよう。
けれど、せっかく火がついた「もう一度恋がしたい!」という気持ちの小さな炎は消したくない。あんなにトウチャンの後を追って死んでしまいたいほどのどん底に這いつくばっていた私が、ようやく人生をもう一度やり直す気持ちになったのだ。
「そうだ、ベタだけど王道の、合コンってどうよ!」。合コンならば、いきなり結婚、のような重たさもなく、出会いのチャンスは広がる。幸いなことに周囲には人脈王のような男友達もいれば、30代から40代の美しい独身(バツイチも含む)がごろごろいる。昔から私が幹事をする合コン・飲み会は「美女揃い」で有名なのだ。あまりに美人ばかり集めるので、「あんなに美女ばかり集めたら引き立て役にならない?自分で自分の首絞めない?同じようなレベルか、自分に準ずる水準の容姿の女性を集めたほうがよくないか?」と忠告されたことすらある。一般的にも「合コン幹事ピークの法則」(つまり、合コンのレベルはそれを仕切る人間が一番モテるように組まれているので、幹事以上のルックスの同性は集まらない、という意味)と言われているようだが、それは大間違いだ。