夕暮れ時や夜間に光り、自動車のライトが当たると反射する反射材。歩行者や自転車利用者を交通事故から守る強い味方だが、タスキだったり、靴に張るシールだったりと、なんとなく「ダサい」イメージがある。そんなイメージを覆す、おしゃれな反射材グッズが登場した。
その名も「リフレクションシール」。名前を横文字にしただけでほのかなおしゃれ感が漂う。直線や曲線、半円、山かっこなどの形をした反射シールで、パーツを組み合わせると、アルファベット文字を作ることができる。感性のおもむくままに、好みのデザインをかたちづくってもオッケーだ。
自転車用シールとして開発されたが、かばんや小物などに張ることもできる。一つ一つのパーツは小さいが、一般社団法人日本反射材普及協会(東京都)の認定を受けているだけあって、車などのライトが当たるとしっかり光る。金、銀の2色で価格は1000円(税別)。2018年3月末から「東急ハンズ三宮店」など神戸市の一部店舗で販売されている。
反射材というと、交通安全イベントで配られるタスキや、夜間の道路工事をしている人たちが身に着けているベストを思い浮かべてしまうが、このシールはちょっと違う。身の回りのものに張るのに抵抗がないし、どんなデザインにするかを考えるのも楽しそうだ。
シールを開発したのは、兵庫県警や神戸芸術工科大学(神戸市)、反射材メーカーなどが共同で進める「産・学・官反射材用品開発プロジェクト」だ。夜間の高齢者の交通事故を減らしたい県警が、同大や企業、団体に協力を呼びかけ、16年度から始めた。リフレクションシールは、プロジェクトの商品化第1弾で、福井市の反射材メーカー「丸仁」が製作を引き受けた。
「高齢者に使ってもらえる反射材をつくりたい」というのが、そもそものプロジェクトの目的だが、なぜ反射材はいまいち浸透しないのか。同大学内でプロジェクトの研究代表者を務める芸術工学部の吉田尚美准教授(47)は、その理由を「ダサい・面倒くさい・用途が分からないから」と推測する。
「反射材グッズをもらっても、どのタイミングでつけたらいいのか分からず、普段使いにつながらない。スマートで格好よく、ファッションアイテムとして楽しんでつけられる反射材グッズなら受け入れやすいのではないか。『反射材はもらうもの』という従来の概念を覆して、『買ってでもつけたくなるデザイン』を考えるのが目標です」(吉田准教授)