プロジェクトでは、同大の教員や学生が反射材グッズを開発し、企業が商品化のためのアドバイス、県警が啓発やPR活動などを担当する。高齢者をターゲットにした16年度は、トートバッグやステッキに巻きつけるグッズなど16点を考案。暗やみでちゃんと光るのかを確かめるため、夜のキャンパスで、100メートル離れた場所から車のライトを当てる実験を繰り返したという。
17年度は、対象を中高生や若者にも広げ、リフレクションシールや帽子、アクセサリーなど17点を考え出した。デザイン性やコストなどを考慮した結果、シールの商品化が決まったという。
シールをデザインしたのは、同大芸術工学部の実習助手、宮谷直子さん(29)。
高校生が自転車をよく使うことや、自身も自転車で通勤していることから思いついた。
「オープンキャンパスでは、カスタマイズやオリジナリティーを取り入れた授業の方が高校生に受けます。DIYも流行っていますし、アルファベットで自分の名前を作れたら面白いと思いました」(宮谷さん) 自転車で子どもの保育園の送り迎えをしている同僚の「似たような自転車が並んでいると見分けがつかないので、オリジナリティーを出したい」という意見も取り入れた。
金、銀以外に、青やオレンジ、黒色なども試作してプロジェクトの会議で提案したところ、反応は上々。日本反射材普及協会の基準をクリアした金と銀の商品化が決まった。
「文字を組み立てながら、反射材について意識してもらえたらという思いもあります」と話す宮谷さん。「夜に自転車に乗っていると、向こう側から来る人が暗やみの中からいきなり現れるので怖い。反射材はすぐに目に入るので、少しでもいいから付けてほしい」
吉田准教授によると、反射材は、ヨーロッパでは衣類やブレスレットなどファッションアイテムとして取り入れられているという。「日照時間が短い北欧では、反射材は重要。ムーミンのデザインなど可愛らしい反射材もありますし、生活にとけ込んでいます」
東京や神戸などで開催される反射材や交通安全のイベントに参加すると、反射材そのものを知らない人もいるという。「反射テープの上に名前シールを張ってしまう人もいるし、グッズについて熱心に質問してくる人もいる。その意識の差を埋めつつ、日常生活の中で当たり前に使えるような反射材グッズを提案していきたい」(吉田准教授)
プロジェクトでは現在、リフレクションシール以外の反射材グッズについても、商品化を検討しているという。おしゃれな反射材の今後に期待したい。(ライター・南文枝)