──報告書では、栄氏がパワハラをした理由についての記述はほとんどありませんでした。

 パワハラが理由もなく行われることはありません。単なるジェラシーなのか。それとも他の目的があったのか。動機に金銭問題が絡んでないのか。内容いかんでは違法性も違います。パワハラの動機の分析を行なっていただきたかったと思います。

──栄氏は「不徳の致すところ」と述べて、強化部長を辞任しました。自ら辞任しなかった場合、協会が解任する可能性もあったとのことでした。

 栄氏の解任相当との判断は妥当だと思います。しかし、これまで黙認してきた協会幹部の責任はどうなっているのでしょうか。同罪のはずです。また、ほとぼりが冷めるまでの辞任で、東京オリンピック前に復活するようなシナリオは許されません。

 栄氏のパワハラの背後には、至学館による五輪独占という誤った目標があったとも疑われているわけですから、新指導者はすべての選手が平等であると宣言すべきです。

──今後はどのような活動をしていきますか。

 伊調選手やその他の被害にあわれた選手が、東京オリンピックを目指して練習を再開されるように願っています。

 私たちは、今後も内閣府に協会の資金やガバナンスの問題を徹底的に調査していただき、公益認定等委員会で適切な監督をしていただくよう情報提供を続けます。

(AERA dot.編集部・西岡千史)

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