この春、PTAが揺れている。
たとえば、PTAの役員(会長・副会長・書記・会計など)をする人たちからは、こんな声が聞こえてくる。
「保護者から、苦情の電話がかかってくるんです。『PTAが加入意思を確認しないのは違法だから、ちゃんと加入届を用意しろ、学校から個人情報をもらうのをやめろ』って、電話で叱られてしまいました。
私もそうしたいと思っているんですけれど、ほかの保護者のなかには反対の人もいるし、うちの校長もいい顔をしないし……」
他方では、PTAに加入しないことを選んだ一般保護者から、こんな声もあがっている。
「まだ下の子どもたちの手がかかるので、『今年はPTAに入りません』って学校に連絡したんです。そうしたら、(PTA会費から購入している)入学式のコサージュ代を実費で払うように、って請求書が送られてきました。
まるでPTAに入らない人への嫌がらせみたい。子どもが入学するのに、ちっとも歓迎されている感じがしません……」
いま、PTAや学校の現場では、何が起きているのか?
■法令順守を求める声の高まり
PTAが揺れている原因のひとつは、昨年の5月末に施行された改正個人情報保護法。これに現場の対応が追い付いていないのだ。
改正前は、保有データ数が5,000以下の団体等は、個人情報保護法の対象外だったが、改正後はこの除外がなくなり、PTAや同窓会、町内会なども対象となった。
この春は、改正個人情報保護法が施行されてから初めて迎える新学期。PTAも今春からは、これまでのように学校からもらった名簿を各保護者の同意を得ずに使ってしまうと、違法行為に手を染めることになる。
なお、公立の小中学校は個人情報保護「法」の対象ではなく、各自治体に10年以上前から存在する個人情報保護「条例」の対象であり、こちらに違反してきた。
今後PTAと学校が法令順守するためには、ちゃんと入会届等を配ってPTAで独自に個人情報を集めるか、あるいは各保護者から同意を得たうえで学校の名簿を使う必要がある。