日本レスリング協会の栄和人強化本部長(57)が五輪4連覇の伊調馨選手(33)に対し、パワハラを行ったと告発する文書が内閣府の公益認定等委員会に提出され、その内容を週刊文春が大々的に報じ、波紋が広がっている。日本レスリング協会は5日にも伊調選手と栄氏を事情聴取するという。
問題の告発状は、貞友義典弁護士の名前で内閣府に提出された。告発状では、伊調選手が、栄氏など協会幹部から練習場を使わせない、コーチを外すなどの嫌がらせを受けていたことが書かれている。東京五輪で5連覇を目指す伊調選手が練習すらまともにできない現状に、心配するレスリング関係者が告発状の作成に協力したという。
一方、同協会はパワハラや練習場を使わせないなどの事実を全否定。伊調本人も所属するALSOKを通じて「告発状については一切、関わっておりません」との声明を発表するなど、真相は「藪の中」。
2020年の東京五輪を控え、金メダルの量産が期待される同協会は大混乱に陥っている。AERA dot.編集部では告発状を提出した貞友義典弁護士を直撃。真相を60分にわたって激白した。
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──なぜ、貞友弁護士が内閣府の公益認定等委員会に告発状を出したのですか。
伊調さんへの長年にわたるパワハラ行為は、複数の五輪出場選手や協会関係者から話を聞いて知りました。みなさん伊調さんの練習さえできない状況をとても心配していました。
私は、税金から多額の助成を受けている日本レスリング協会があまりにもひどい行為をしているので、管轄する内閣府に通報するべきだと考えました。ですが、関係者の名前が協会に伝わると、告発した側に被害が及ぶかもしれません。また、教え子や後輩選手にもパワハラが広がる可能性もあるため、関係者たちは告発を非常に怖がっていました。
そこで、私が告発人になることで関係者に了解をいただき、まずは昨年12月14日付で「ご要請及びご質問」と題した文書を内閣府に提出しました。しかし、内閣府からは十分な回答が得られなかったため、告発状を作成し、今年1月18日付で提出しました。