政党の顔見せ興行である党首選。「いち押しの役者はこれ!」と世間にアピールする絶好の機会だが、媒介するテレビ局側はきわめてシビアに値踏みしている。報道に携わる3人のテレビ局員が、視聴率を下げる政治家は誰なのかを赤裸々に語った。

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A(在京キー局ニュース番組デスク):視聴率は1分単位で折れ線グラフになって翌日午前に出てくるから、誰が出た時間帯がどういう数字になったかは一目瞭然。民主党政権で数字が取れたのは発足当初だけだった。今回も、民主党代表選を扱うと数字が軒並み下がってしまう。候補者4人をスタジオに呼んでの討論会は、躊躇しちゃうね。

B(在京キー局報道番組ディレクター):野田さんを含めて地味だからね。「民主党唯一のスター」と言われた細野豪志原発相(41)にしても、数字は下がらないけど上がりもしない。

A:民主党で視聴率が下がらないのは、あとは前原誠司政調会長(50)ぐらいだね。一部の議員が「出馬したら絶対にテレビが食いつく」と鼻息が荒かった田中真紀子元外相(68)はどう?

B:視聴者は全然食いつかない。(笑い)

A:それと比べると、自民党の総裁候補のほうが知名度は高い。9月3日に谷垣禎一(67)さんが古賀誠元幹事長(72)に会いに行き、「若い人を応援したい」と一蹴されたでしょ。あの日の数字はよかった。世間はああいうむき出しの権力闘争を好むんだろうね。

C(大阪準キー局ニュース番組担当):テレビ朝日「報道ステーション」が連日、総裁候補をスタジオに呼んで話を開いたけど、出演中に軒並み数字が下がった。

B:石原伸晃幹事長(55)が出た11日は特に食いつきが悪くて、視聴率が4ポイントほど下がった。サッカーの「日本対イラク戦」の中継直後だったから、番組開始時点の視聴率は高かったんだけどね。おまけに「尊厳死容認によって社会保障費削減」とも取られかねない失言までした。

※週刊朝日 2012年9月28日号