ごはん1杯(150グラム)は、角砂糖14個分の糖質!
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宗田哲男医師
宗田哲男医師

「お米を中心にした伝統的な和食が日本の長寿をつくった」。よく耳にする言葉ですが、じつはこれ、「誤解」なのです。お米や甘いものに含まれる糖質の過剰摂取の弊害などについてわかりやすく解説した『甘いもの中毒』(朝日新聞出版)の著者でもある宗田哲男医師に、日本が長寿世界一になった本当の理由を解説してもらいました。

【写真】『甘いもの中毒』の著者・宗田哲男医師

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 じつは、最近の研究で「欧米型の食事のほうが長生きする」ということが明らかになっています。

 たとえば、国立がん研究センターは全国規模で25年以上続けている「多目的コホート研究」(長期の集団追跡調査)の成果の一つとして、全国10保健所管内に住む40~69歳の男女約8万人を1990年から2012年まで追跡した調査結果に基づいて、「欧米型食事パターンにより全死亡、がん死亡、循環器疾患死亡のリスクが低下」したと、2017年4月に発表しました。

 この研究のいう「欧米型食事パターン」とは、「肉類・加工肉、パン、果物ジュース、コーヒー、ソフトドリンク、マヨネーズ、乳製品など」です。つまり、脂肪・タンパク質中心の食事といえるでしょう。

 そうした食の欧米化によって「生活習慣病が増えた」などと指摘する専門家がいまでも少なくありませんが、この国立がん研究センターによる大規模な追跡調査は、がんを含めて日本人の死亡率低減に、食の欧米化が貢献していることを示したわけです。

 そして残念ながら、ごはんやみそ汁、漬物、魚介類、果物などの「伝統型食事パターン」には、日本人の長寿化との関連が認められませんでした。

 日本の伝統的な食事が日本人の寿命を延伸させているという主張には、科学的根拠がないといえそうです。お米中心の日本食を単純に長寿食と考えるのは非常に危険だと思います。

 たとえば、近年まで秋田県の人は他県に比べて短命といわれていました。ガッコ(たくあん)などの漬物が大好きで、塩分の摂り過ぎで高血圧となり、脳卒中で亡くなる人がとても多いと考えられていました。

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秋田県の人は塩分だけが過剰なのではなく…