広瀬すず(19)が主演を務めることで注目を集めていたドラマ「anone」(日本テレビ系)が苦戦を強いられているようだ。放送送開始から第4回までの視聴率は9.2%、7.2%、6.6%、6.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と下降気味で推移しているが、業界関係者はその理由をこう見ている。
「昨今のテレビドラマは、テーマが明確なものが受ける傾向にある。恋愛なのか刑事モノか、社会派なのか……いろいろな設定があるなか、『anone』は何についてのストーリーなのか明確なジャンル分けができない。アルバイトしながらネットカフェで暮らす少女(広瀬)が主人公ということで、暗い話なのかなと思いきや、広瀬がいきなりスケボーに乗って登場したりとコミカルな面も多い。個人的にはあのストーリーに広瀬のルックスがあんまりあってない気もしますね……。こうしたコミカルさは日テレならではの作り方だと思いますが、今のところ受け入れられてないのでしょう」(民放ドラマプロデューサー)
他のドラマ制作スタッフからもこんな評価が聞かれた。
「『anone』の脚本は、松雪泰子主演の『Mother』(2010年)、満島ひかり主演の『Woman』(2013年、ともに日本テレビ系)と、高評価を得てきた坂元裕二さんです。マンガ原作の実写化などが強い日テレのなか、坂元さんの作品はオリジナル脚本なので、局は大事にしていきたい路線なんだ思います。ただ、母親側からの視点で描いた過去2作に比べて、子どもからの視点で構成されているのでちょっと入り込みにくい。ドラマリテラシーが高い作品なんですよね。おそらく過去2作が賞をとったり、他局ですが直近だと『カルテット』(TBS系)への評価が高かったということで、坂元さんの成功体験があるからこそ通った企画だと思います」
苦戦の理由はさまざまあるようだが、一部では視聴率が低いという理由だけで広瀬すずのパーソナリティーにまで問題があるかのような記事も見受けられる。前出の関係者はこうした意見に異を唱える。
「広瀬すずの演技自体はけっこう良いと思います。暗い部分、コミカルな部分を使い分けられているし、なにより見ていてかわいい。おそらくこれまで彼女が出演した映画がヒットしたことで、潜在的な視聴率があると思われたのかもしれませんが、テレビドラマにおいては実際にはそこまで高くないはず。青春恋愛映画ならデートついでに見る人も多いと思いますが、テレビドラマだけの評価となると彼女はまだまだこれからの女優さんですし、とはいえ、人気もあるので暖かく見守りたいところです」(前出のプロデューサー)
脚本を手がける坂元ファンも多く、ドラマ評論家のまわりでは高評価を得ているようだ。
「そもそも坂本さんの脚本はじっくり練られたものが多く、勢いだけで視聴率が上がるタイプではない。しかしその見応えのよさや、映像的・美術的な見せ方などどれをとってもドラマ好きの間で評判になるものが多い。加えて『カルテット』のような緻密な会話劇もあり、日テレドラマの名プロデューサー・水田伸生さんの演出もあり、コミカルな面がようやくハマってきた感じもある」(同)
その一方で別の意見も……。