1月24日午前のぶら下がり会見で平昌五輪開会式の出席を表明した安倍首相 (c)朝日新聞社
1月24日午前のぶら下がり会見で平昌五輪開会式の出席を表明した安倍首相 (c)朝日新聞社
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 安倍晋三首相が2月9日に行われる平昌五輪開会式に出席することになった。第一報を報じたのは1月24日付朝刊の産経新聞で、前日に首相官邸でのインタビューで安倍首相が自ら明らかにしたという。

 安倍首相の開会式出席については、慰安婦問題について韓国の文在寅(ムンジェイン)政権が新方針を示したため自民党内の保守系議員を中心に反発がおき、欠席するとの報道が大勢だった。

 なかでも開会式は欠席するべきと主張していたのは、スクープインタビューを掲載した産経新聞だ。

 1月11日付朝刊では、複数の政府関係者の話として一面トップで安倍首相が開会式への出席を見送る方針であると報道。19日付朝刊の一面コラム「産経抄」では、それでも党内の重鎮である二階俊博自民党幹事長や公明党の山口那津男代表らから出席を求める意見が相次いでいることに「論外である」「茶番劇になりかねない平和の祭典に首相として関われば、北朝鮮の思うつぼだ」などと記している。

 出席反対派の急先鋒ともいえる産経新聞に24日、登場した安倍首相は、「韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは受け入れることができません」と、予定されている日韓首脳会談に毅然たる姿勢でのぞむ決意を披露した。

 また、二面では「首相 ぎりぎりの決断」と題した内幕記事を掲載。政府高官の話として「米ホワイトハウスからも、安倍首相に開会式に出てほしいという強い要請があった」とのコメントを紹介している。そのうえで、記事本文で「韓国に対し、行き過ぎた対北朝鮮宥和政策に走らないようクギを刺したい米国が、パートナーとして安倍首相を指名した形だ」と解説している。

 だが、足元の自民党内ではいまだに不満がくすぶっている。

 参加表明後の24日午前に自民党本部で開かれた「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」では、出席に反対する声が相次いだという。一方、ある自民党の閣僚経験者は、今回の経緯についてこう解説する。

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出席反対論の盛り上がりは演出?