介護保険と健康保険でこんなことができる
介護保険と健康保険でこんなことができる
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 医師らが定期的に訪問し、病気とはいえない状態を含め、さまざまな不調を診てくれる在宅医療。在宅医療を利用してみようと思った場合、どうすればいいのでしょうか。好評発売中の週刊朝日ムック「さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん」では、全国在宅療養支援診療所連絡会会長の新田國夫医師に取材しました。

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 がんなどで入院していて、「これ以上の治療は難しい」となった場合や、治療は可能でも本人が「これ以上は不要」と思うようになった場合、通院が難しくなった場合など、病院での手術や継続的な治療が必要なければ、在宅医療の対象となります。

 在宅医療は、安定した状態が維持されている慢性期の患者から、24時間複雑な病態にある患者まで、対象となります。現在の在宅医療では、医療機関でおこなわれるのと、ほとんど変わりのない検査や治療ができるようになっています。このため容態が不安定な急性期や重度な障害が残ったままでも、退院して「あとは自宅で」といった選択が可能になっています。

 病気の進行度も在宅医療を始める一つの目安にはなりますが、最も重要なのは、患者本人と家族の「思い」です。「家に帰りたい」「家にいてほしい」という共通の思いが、在宅医療の原点となります。患者と家族でよく話し合って、在宅への思いを確認し合うことが第一です。

 認知症などで、本人の意思の確認が不可能になることが考えられる場合は、早めに確認し合っておきましょう。

 入院中、あるいは通院中に、在宅医療が選択肢に入ってきたら、在宅医や訪問看護師がどこにいるかなどを問い合わせるために、自治体や地域包括支援センターに連絡をとってみましょう。地域によっては在宅医療相談窓口が設けられているところもあります。大病院なら、院内に退院後に関する相談窓口(退院支援室など)を設けています。かかりつけ医がいる場合は、かかりつけ医に相談するのも一つの方法です。

 在宅医療を決めたら、現在かかっている病院で、「退院前カンファレンス」と呼ばれる、事前打ち合わせのための会議を開くことがあります。この会議で、患者の現状や今後の療養の見通しなどをしっかり聞き、療養の方針や、家族や職種ごとの役割分担を明確にして、互いに確認し合うことが大切です。このカンファレンスは、在宅医になる医師が、家族や医療・介護スタッフを集めておこなうこともあります。退院前にできない場合は、退院後に自宅でおこなうケースもあります。

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