気がつけば、2月1日のキャンプインまであと1ヵ月を切った。プロ野球が恋しくなるこの季節だからこそ、改めて2017年シーズンの出来事を振り返っておきたい。「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に2017年シーズンの“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は「試合を中断させたハプニング編」である。
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イニングの合間にグラウンドでアトラクションが行われることも、今では珍しくなくなった。だが、野球はいつ何が起きるかわからない波乱含みのスポーツ。すんなり攻守交代といかない場合もある。5月31日の中日vsソフトバンク(ヤフオクドーム)では、スリーアウトチェンジと思いきや、そうではなかったことから、プレーもアトラクションもやり直しという珍事が起きた。
3点を追う中日は3回2死一塁、大島洋平が2ストライクから石川柊太の150キロ直球をファウルチップ。ボールは捕手・甲斐拓也のミットに収まった。三振でスリーアウトチェンジと思われた。
直後、グラウンドでは着ぐるみ3体が出場した「ホットドッグレース」が始まり、勝てばグッズが割引になるグッズマンが優勝。球場内の大型ビジョンには、「南海ホークス球団旗フェイスタオル」が割引価格で販売されるという告知が映し出された。
ところが、告知は瞬時にして消え、グラウンドでは、チェンジになったはずの3回の中日の攻撃が再開されたものだから、スタンドのファンは「なぜ?」と目を白黒させた。
実は、大島がファウルチップした際の石川の投球がボークとされたのだ。真鍋勝巳二塁塁審から「静止時間が短い」とアピールがあり、飯塚富司球審がボークを宣告したが、すでにアトラクションが始まってしまったため、プレーを中断せざるを得なくなったのだ。
ボークで一塁走者・京田陽太が二進し、2死二塁からプレー再開。打ち直しの打席で大島は右前にクリーンヒットを放ち、1点を返した後、荒木雅博が左飛に倒れ、今度は本当にスリーアウト。ここでホットドッグレースが再開されたが、グッズマン以外が勝つとややこしいことになるとあってか、出来レース(?)で再びグッズマンが優勝した。
試合はソフトバンクが7対2と快勝し、6回を2失点の育成出身4年目・石川がうれしいプロ初勝利。自らのボークを発端とする珍事もあり、一生思い出に残る日になったに違いない。