松井秀喜選手は7月末、シーズン途中に入団した大リーグ・レイズから成績不振を理由に戦力外通告を受けた。日本のプロ野球界から国内復帰への待望論があるにもかかわらず、その決断は米国残留だった。投資助言会社「フジマキ・ジャパン」代表を務める藤巻健史氏は、「やじ馬」たちで、こんな茶飲み話をしたと明かす。
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もちろん、「メジャーでまだやれる」というプライドもあっただろうし、彼なりの人生観で下した結論だから、金銭的な話をするのは失礼ではあるが、やじ馬としての我々の結論はこうだった。「もうすぐ在米10年。年俸が急減しているのに米国で頑張っているのは、もうちょっとで、米国で多額の年金をもらえる資格を得るからじゃないの? 早く帰国して権利放棄するのはもったいないよな?」
一方、日本の年金は「若い人が老人を支える」というコンセプトで、若い人が払う掛け金は現在の老人のために使われる。若者が老人になったときには、次の世代の払う掛け金が、その時の老人の年金の財源となる。「確定給付年金」と言われる。拠出金ではなく、給付される年金の額が確定している方式だ。次の世代の掛け金を支払う能力が小さくなれば、その時の老人は、自分が払い込んだ金額以下の年金しか受け取れない可能性もある。また松井選手の逆バージョン、すなわち米国人選手が60歳から日本の年金をもらえる可能性はまずない。
※週刊朝日 2012年9月21日号