来季へ向けて着々と準備が進むプロ野球界。今季まで現役でプレーした井口資仁が引退即監督としてチームを率いるほか、続投となった緒方孝市、高橋由伸、金本知憲、ラミレスは40代で、侍ジャパンを指揮することになった稲葉篤紀監督も45歳と若く、監督業の世代交代も進んでいる。では、現役選手の中で監督候補は誰なのか。将来、名監督になり得る人材はいるのだろうか。
「監督候補」。現在、真っ先に名前が浮かぶのが、巨人の阿部慎之助だろう。安田学園高から中央大を経てドラフト1位(逆指名)で巨人入り。プロ1年目の2001年から正捕手として活躍し、07年から14年までは主将を務めながら類まれなリーダシップを発揮した。この2、3年は成績を落としているが、チーム内での存在感、発言力は依然として絶大である。チーム生え抜きで実績も十二分。厳しい言葉や言動で後輩たちを律することも多々あり、加えてマスコミへの対応、サービス精神、世間への知名度も抜群だ。問題は“いつ”なるかだが、「名選手にして名監督」になる大きな器は、間違いなく持っている。
今季、阿部と同じく通算2000安打を達成した阪神の鳥谷敬も、球団から将来の監督就任を期待されている。聖望学園高から早稲田大を経て、ドラフト自由獲得枠で阪神に入団し、04年9月から14年間に渡って歴代2位の1895試合連続出場を続けているミスタータイガース。12年から16年までは主将も務め、チーム内からの信頼は厚い。その外見とともに報道陣に対する受け答えもクールだが、その奥には監督に必要な芯の強さと飽くなき野球への情熱が隠されている。現在、チームは金本知憲監督の下で絶賛改革中だが、その後任として“鉄人から鉄人”にバトンが渡されるかも知れない。
楽天の嶋基宏も、将来の監督候補として名前が挙がる一人だ。中京大中京高から国学院大を経て06年の大学・社会人ドラフト3巡目で楽天入り。当時の野村克也監督から「捕手論」を叩き込まれ、グラウンド内でチームを引っ張るだけでなく、頭脳明晰さを活かして日本プロ野球選手会の第8代会長としても存在感を発揮。東日本大震災直後の11年4月の慈善試合での「見せましょう、野球の底力を」のスピーチはあまりに有名だ。