残暑が続く日本列島が、相次ぐ「ロリコン犯罪」に脅かされた。
 まずは、名古屋。9月3日、小学1年の女児(7)が同じマンションに住む水島誠容疑者(23)の部屋に11時間以上にわたり監禁された。警察が部屋に踏み込むと、女児と、水島容疑者の父・正和さん(66)の遺体を発見。女児を連れ込んだ後に木製の鈍器で頭を殴って殺したとみられ、水島容疑者は「連れ込むのに邪魔だったので殺した」と供述しているという。
 水島容疑者は2010年に愛知県内の私立大の心理学科を卒業。就職が決まらず短期アルバイトを転々とし、今年5月から6月下旬までの約2カ月間、引っ越し会社で働いていた。勤務態度はまじめだったというが、将来に不安があったのだろうか。履歴書の「志望動機」の欄には、こう書かれていた。

〈自宅の光熱費、年金の資金を稼ぐため。もっと多く社会での経験を積むため。他者との関わりで対コミュニケーション力の向上を狙って志望〉(原文ママ)

 一方、4日に広島市でもう一つの事件が起きた。小学6年の女児(12)を旅行かばんに押し込めて連れ去ろうとして、小玉智裕容疑者(20)が逮捕されたのだ。
 小玉容疑者は成城大学社会イノベーション学部の2年生。広島市内で自動車運転免許の合宿を終えた直後に犯行に及んだ。
 大学によると、単位が足りず、すでに留年が決定。本人のものと思われるツイッターでは、アニメの少女キャラの画像を使うなど、アニメ好きの一面が見える。犯行動機について「サークル活動で悩んでいた」などと話しているという。
 二つの事件は、あまりにも杜撰(ずさん)で"行き当たりばったり"だ。そして、その欲望の矛先は、ともにか弱い女児に向けられた。この共通項に、いまの日本が抱える病巣が表れている。

※週刊朝日 2012年9月21日号

[AERA最新号はこちら]