「桃山学院教育大学がめざす教育は、『ひとりの主体的な人間として育てる』ことです。知識や問題解決力を身につけたとしても、それを使いこなす主体である『人間』を育成していかなくては本当の教育にならないと考えるからです」。

 いくつもの大学で学長を務める人物には、高名な学者もいる。ノーベル賞学者の江崎玲於奈氏は、筑波大、芝浦工業大、横浜薬科大の3大学で学長となった。江崎氏は92歳。現職の横浜薬科大学長であり、国内では最高齢学長となる。ほかに、ノーベル物理学賞候補としてたびたび名が挙がる西澤潤一氏も、東北大総長、岩手県立大学長、首都大学東京学長を歴任した。

 学長として渡り歩いた先の大学が大きく発展したという話はあまり聞かない。改革の成果が示されるのに時間がかかるという事情がある。一方で、学長職は、功成り名を遂げた学者の名誉職的な位置づけ、外に対する箔づけ、権威づけ的な側面も否めない。

 いま、学長には少子化に対応するため、大学運営でのリーダーシップが求められる時代となった。5つめの大学学長に就任する梶田氏の手腕に注目したい。

大学ランキング」誌では、学長の出身校ランキングを掲載している。2017年時点のデータで、出身大学1位は東京大(69人)、2位は京都大(48人)。東京大出身者は江崎氏のように関東の大学で、京都大出身者は梶田氏のように関西の大学で学長になるケースが多い。

(教育ジャーナリスト・小林哲夫

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