「日本とは、日本人とは何か」を生涯問い続けた“国民的作家”司馬遼太郎(1923~96年)が亡くなって、昨年は20年の節目の年だった。その記念回顧展「没後20年 司馬遼太郎展-21世紀“未来の街角”で」が、昨年から年を跨いで今年も全国各地を巡回し、人気を博している。
20世紀を疾駆して72年の生涯を終えた司馬遼太郎。「竜馬がゆく」「坂の上の雲」「街道をゆく」など、数多く残した小説やエッセイは世代を超えて読み継がれ、時に映画やテレビで映像化されている。
回顧展の動員の多さ、先月公開された映画「関ヶ原」の大ヒットは、司馬遼太郎と彼の著作物が混迷の現代に生きる日本人の道しるべになっていることを物語っている。
11作目の大河ドラマはそんな司馬遼太郎の代表作のひとつ「国盗り物語」が取り上げた。群雄割拠の戦国時代、一介の浪人から身を起こし、美濃の大名にまで上りつめた斎藤道三。天下制覇を夢見ながら野望半ばに倒れた道三の意志を継いだ信長。その他、明智光秀、豊臣秀吉、徳川家康など、乱世を生きた人々の激しい葛藤を描いた。
松原智恵子さんはその「国盗り物語」で、織田信長の妹のお市の方を演じた。
「私は映画デビューが16歳で、テレビも1966年の『山のかなたに』が最初でしたから21歳と、意外に早くテレビに出ているんです。なかには『水戸黄門』とか『大江戸捜査網』などいった時代劇もあるのですが、ほとんどが単発出演なので『国盗り物語』のような本格時代劇は初めてということもあって相当緊張したのを覚えています。でも織田信長を演じた高橋英樹さんは日活の仲間、お市の方が嫁いだ朝井長政を演じた杉良太郎さんも日活の青春映画でご一緒していましたし、お市の方が二度目に嫁いだ柴田勝家を演じたのが日活の大先輩である宍戸錠さんだったので安心感もありました。和気あいあいとした雰囲気と緊張感がマッチした思い出に残る撮影現場でしたね」