東京を中心に首都圏には多くの医学部があるにもかかわらず、医師不足が続いている。現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、医師不足の状況下で「いい病院」を見分けるためのある提案をしている
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いい病院を見分けるには、どうすればいいのか。私は、「リーダーの実力」と「病院の資金力」を見るべきと考えています。
病院は組織です。「リーダーの実力」が組織を左右します。命に係わる病気で優秀な医師を探す場合、その医師が所属する院長の人柄や普段からの活動ぶりを調べることです。
病院選びは、研修医や医学生の研修先の選びかたと同じです。悩んでいる研修医や医学生には、「副業三昧の教授が指導する医局は避けるように」と助言しています。「副業」には、他の医療機関での診療や製薬企業の講演会だけではなく、学会活動や審議会など政府の委員会の仕事も含みます。
診療や研究、学生指導を熱心にすると、学会活動や審議会に出る暇はなくなります。学会活動の本来の目的は、専門家間での情報交換です。教授にもなれば幅広いネットワークを持っています。コミュニケーション能力があれば、メールや携帯電話、あるいは最近ならLINEやフェイスブック・メッセンジャーで簡単に連絡できるはずです。何日もかけて、学会に出かける必要はありません。