所属するグループのためにがんばる3人(イラスト:金井淳)
所属するグループのためにがんばる3人(イラスト:金井淳)
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 普段意識しない「国」というもの。その国が持つ権力は何のために存在するのだろうか?若手イケメン憲法学者としても知られる木村草太さんが、AKB48の加藤玲奈さん、向井地美音さん、茂木忍さんの3人に行った政治の授業をまとめた本、『日本一やさしい「政治の教科書」できました。』(朝日新聞出版)から、「“国家”とは何か?」という授業を紹介する。

*  *  *

木村:国という団体は何のためにあるのでしょうか。ほかの団体と何が違うのでしょう。例えば、国とAKB48は、どんなところが違うと思いますか?

茂木:規模が全然違うと思います。あと、そもそもAKB48は有志っていうか、自分の意志で入る団体ですけど、どの国の人になるかは、その人が生まれたところで決まってしまいますよね。

木村:そうですね。場合によっては申請して国籍を選ぶことも可能ですが、基本的には日本人の親から生まれた人は日本国民、アメリカで生まれた人はアメリカ国民といったように、私たちは生まれたときから、国籍が決められています。つまり国は「強制加入団体」といえます。

 では、団体に入っているときと入っていないときで、何が変わるのでしょうか。例えば皆さんはAKB48に入ったことで、AKB48のためにどんなものを使っていますか。

茂木:「時間」ですかね?

向井地:あと「体力」も!

木村:そうですよね。つまり団体とは、「それぞれの人(メンバー)が持っている時間やお金、労働力などの“資源”を集めて使う組織」だと定義できます。

 先ほど国は「強制加入団体」だと言いましたが、本来であれば、団体に入りたくない人を無理やり入れて時間や体力を奪ったりするのは、正しくないわけです。

加藤:じゃあ何で国は、そんなことが許されるのでしょう?

木村 ちょっと考えてみましょうか。

■すべての人が“国民”にならなければならないワケ

木村:まず国は、どういう仕事、業務をする団体だと思いますか。例えば、学校の業務は教育ですよね。AKB48の業務はアイドル活動です。では、国という団体は、一体何のためにあるのでしょうか。

茂木:人をまとめるためじゃないかな。皆が自分の考えで勝手に動いたら、それこそ戦争とかが起きてしまうかもしれません。だから、争いが起こらないように同じルールで人をまとめて、国というくくりをつくったのでは?

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