向井地:そう考えると、AKB48でも同じような場面がありますね。ダンスの振りつけとかも、色々なアイデアややり方があるけれど、最後はどれがいいか多数決をとってひとつに決めたりします。
木村:なるほど。同じメンバーでも、一人ひとり考え方ややりたいことが違っていれば、当然意見は分かれますよね。
茂木:意見が分かれたときは、ダンスの先生が「こうやって動いて」って言って統一することもあるし、3パターンくらいある中から皆で「どれにする?」って、話し合って決めることもありますね。
木村:振りつけの先生が「こうしなさい」というのは“指示”ですよね。メンバー自身が物事の決定に参加しているわけではありませんから、そこに政治はありません。
それに対して、メンバー自身で決めなければいけないときは、色々なタイプの振りつけを出し合って、最終的にひとつに決めなければなりません。ここには「政治」があります。そういうときに気をつけなければいけないことって、何だと思いますか?
向井地:うーん、何だろう……。
木村:ポイントは、たくさんの意見が出ても、最後はひとつしか選べないということです。みんなで決めたことについて、同じ意見だった人は満足するでしょうが、ほかの人たちは少なからず不満が残ります。そうした不満にどう対応するのか、という問題が出てきます。
このように政治の場には、必ず“敗者”(自分の意見が通らなかった人や自分の価値が認められなかった人)が生まれてしまいます。政治を行ううえでは、このことをつねに考えなくてはなりません。