アメリカの議員や政府関係者が基地建設予定地を見るときには、既に存在している米軍基地(キャンプ・シュワブ)の中から辺野古地域を見るだろうことは想像できる。ヘリコプターでの移動の可能性も含めて私たち日本の一般人とは異なったルートで現場を行くだろうことも想像に難くない。しかし、既に10年以上にもわたって、文字通り一日も休まずに沖縄の人たちは現場に座り込みをしているのである。その人々の姿も見ずして、そして、彼らの声を聞く機会も持たずして、この問題の「現場」を視察したといっていいのだろうか。

 いや、その議員には責任はない。CODELはアメリカ議会の公式な視察旅行であるから、その遂行は米議会の事務局、加えて、米国務省や軍を含む米国防省が担っている。また、外務省を中心とする日本政府が日本国内における行程作りに協力している。

 日本の国会でもそうであるが、アメリカの多様な意見を代表するのが米議会である。米政権と異なる意見をもつ強力な存在が生まれうる、一番のポテンシャルを持つ存在である。

 これだけの圧倒的な反対が沖縄に渦巻いているときに、基地建設を推進する米政府と日本政府が「辺野古基地建設の現場」に米議員を連れて行き、基地建設に反対する人々の姿を見る機会すら与えずして、「現場を見たよ」と米議員に言わせしめている。

 しかし、強い反対の声が沖縄にあることを認識した上で、歓迎されない基地が安定的に持続可能なのかを検証することも日米両国の利益を考える上では必要なのでないか。

 ちょっとした会話から様々な発見をする機会の多いワシントン訪問である。日本にいてはなかなか見えない事象に、敏感にアンテナを働かせていきたい。

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