TRとFRが別種目扱いの世界選手権と違い、五輪ではデュエットメンバーは二人に絞られるが、五輪後初めての国際大会となった昨年11月のアジア水泳選手権大会から井村コーチは「三人体制」をとっている。東京五輪を見据え、じっくりとデュエットを育てていく方針だ。技術力が問われるTRには「テクニックはとても上手い」と評価する中村、表現力も評価されるFRには、乾と組むと「綺麗な」デュエットになるという中牧を抜擢。チームでもリフトの際にジャンパーとして活躍する中村に対し、中牧はリオまでは「チームでも足を引っ張っていた子」(井村コーチ)だったという。

 しかし、井村コーチも認めるたゆまぬ努力でコツコツと力をつけた中牧は、井村コーチに「化けたかな」と言わせるほどの急成長を見せている。ブダペストで、三人のうち誰が泳いでもメダルを獲れると世界に示せれば、東京の表彰台への視界は一気に開けてくるだろう。

 リオ五輪代表であり、今はチームのまとめ役を務める丸茂圭衣(井村シンクロクラブ)は「日本はメダルを獲れる国だ、という認識になってきているので、それを絶対に手放してはいけない。世界水泳ではメダルはもちろん、昨年よりもいい色のメダルを目指してやっていきたいと思います」と語っている。メダル死守の目標にとどまらず、表彰台をもう一段上がることを目指す新生マーメイドジャパンが、初めての大舞台に立つ。(文・沢田聡子)

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