中国企業との商談や中国現地法人の訪問、展示会の視察から国際会議や学会への出席など、仕事で中国を訪れることになれば、数日とはいえ現地のネット環境に身を置くことになる。そこで、当たり前にできると思いがちな「日本とのメールの送受信」や「ちょっとした調べもの」ができない、という人が少なくない。中国でのネットトラブルへの対処法について、上海在住19年、『90分でまるわかり中国』著者の亀田純香氏に、ポイントを寄稿していただいた。
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まず、スマホで検索する際、検索ワードをどこに入力しているだろうか?
(1)Googleのトップページで検索窓に入力
(2)Yahoo!のトップページで検索窓に入力
(3)ブラウザのURLが表示される欄に直接入力
おそらく(3)を選んだ人が多いのではないだろうか。この場合、初期設定のままであれば自動的にGoogle検索を使っていることになる。問題は、中国ではGoogleが利用できないということだ。
たいていの場合中国に来た人は、Wi-Fiの使える場所を見つけたり、海外接続用のルーターを使ったり、中国のSIMカードを買ったりしてスマホを使うわけだが、この状態でいつも通りの検索をするとどうなるのか? 検索ワードを入力して「検索」しても、いつまでも返ってこないという状態になる。中国でGoogleが使えないことを知らなければ、「そもそもの接続がうまくいっていないのだろうか?」「検索に手間取っているのだろうか?」と思ってしまう。
Googleマップももちろん使えない。昨年、中国に来た友人も「中国の文化も興味深かったけど、日本で暮らしているときに、自分がどれだけGoogleに依存しているかがわかって、そのことも衝撃的だった」と話していた。
こうしたトラブルへの対策としては、まず初期設定の検索を「Yahoo!」などGoogle以外のものにしておくことだ。これから出張という方は、早めに設定の変更をしておくことをおすすめする。中国に着いてからでは初期設定の変更方法を検索して調べようとしても、検索自体ができないかもしれないからだ。
長期で滞在するならば、しばらくいる間に中国流のネット環境に慣れていくだろうが、短期滞在や旅行の場合は、このあたりでつまずいて、何がどこまで接続できているのかもわからない泥沼にはまりかねない。
■企業の独自ドメインのメールも要注意!
検索問題については、設定をGoogleからYahoo!に変更すれば事足りるが、皆さんにとってより深刻なのはGmailが使えないことかもしれない。Gmailは企業向けのサービスも行っているので、企業の独自ドメインを使っているけれど、実際はGmailのサービスを使っているというケースがある。このサービスを使っている場合、中国でメールの送受信をしようとしてもできないケースが多いのだ。中国にいる間に日本とのメール連絡が必要な場合は、自分の会社のメールがGmailのサービスを利用しているか、事前に確認しておきたい。また、事前に他のメールアドレスを使った連絡方法を用意しておくことをおすすめする。