日本で唯一の不登校・ひきこもり専門紙「不登校新聞」編集長、石井志昂さんがつづる連載「ぶらり不登校」。自身も不登校の経験がある石井さんは、学校に行かない子どものほとんどがフリースクールに通わない背景には、3つのハードルがあるという。
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不登校はフリースクールにほぼ通ってません。実際にどの程度なのかというと、通っているのは不登校全体の2~3%程度だと考えられています。つまり97~98%にあたる不登校はフリースクールに通っていません。
統計によって数値が異なるので、正確な数を把握するのは難しいのですが、文部科学省の調査によると、2015年度の不登校は12万6009人。そのうちフリースクールや塾などの「民間施設」で相談・指導を受けた小中学生は2633人。不登校の子に占める割合は2%でした。また同省による別の調査だと、あきらかにフリースクールに通っている小中学生は4196人(2015年8月発表)、不登校の子のうち3.3%でした。この2つのデータから、フリースクールへ通う人は「不登校のうちのごく少数だ」と私は認識しています。
ちなみに、行政が運営している「教育支援センター(適応指導教室)」への利用率もさほど高くありません。2015年度に1度でも教育支援センターを利用した者は1万2893人。不登校全体の10.2%でした。
ここ数年で認知度が広まってきたフリースクールですが、不登校の多くが通っていないことはほとんど知られていません。
■3つのハードル
フリースクールに通うためのハードルは3つあると考えています。
1つ目は、フリースクールの数が足りないことです。
子どもが利用する学校以外の機関として有名なのが学童保育です。学童保育とは、日中、保護者が家に居ない小学生に対して、学校終了後に場を提供している保育事業で、全国に2万カ所あります。一方、フリースクールの数は一般的に全国に400団体~500団体と言われています。