先日、共謀罪の審議を見ながら、おっくうな気持ちで、ぼーっと考えていた。
共謀罪が乱用されたら、僕らも「一般人」かどうかは関係なく、気づかないうちに、あれこれ調べられる日が来るのだろうか――。
怖いと思われるような形相で、「共謀罪反対」と主張していたら、「自分たちに都合が悪いから反対しているのだ」と世間から思われるのだろうか。
「ちょっとでも関わって巻き添えを食うといけない」と思われて、社会運動をやっている人間は、周りから忌み嫌われることになるのだろうか。
もちろん、僕は共謀罪の対象である「組織的犯罪集団」とは何の関わりもない、「一般人」だ。しかし金田勝年法務大臣の答弁を聞く限り、「組織的犯罪集団」が、どのような集団を指すのかは、非常に曖昧だ。
また普通の団体も、性質が一変した場合には、共謀罪の対象になり得る、とのことだが、どのようにして「性質が一変した」と証明するのであろうか。
常日頃から、犯行の合意がなされていないか、何らかの準備行為はないかと、「一般人」にも目配りしておかなければ、そんなことは不可能だろう。
罪になるかは別にしても、いずれ捜査の対象に「一般人」が含まれるのは必然ではないだろうか。
違法な捜査が行われる可能性も拭いきれない。
性質が一変していないかどうかをチェックするために、密室での合意や、水面下での準備行為を見つけ出すのだとしたら、それは容易なことではない。
そこに違法性が伴うことは、十分に想定できるのではないか。
僕がずいぶんと大げさな妄想をしているだけだと思う人もいるかもしれない。安倍政権に任せていれば、ちゃんとした法律をつくってくれるだろうと、安心しきっている人もいるかもしれない。
しかし政権が代わった後も、この法律は残り続けることになる。
誰がトップだろうと、きちんと運用される法律をつくる必要があるというのは、当然のことだ。恣意的な運用の余地を残すようなことはすべきではない。