東日本大震災から6年、熊本地震からも14日で1年が過ぎた。東北の震災現場ではさまざまな研究がなされているが、神社についての興味深い報告がいくつもあった。
古くからある神社の多くが、2011年の大津波の災害から免れているのだという。その理由が、長い歴史の間に、被害にあった神社を被害のなかった場所へと人々が移転し続けた結果、選ばれた場所に残されることになったためなのだとか。こうして神社は、人間にとっての安全な道標としての役目を担ってきたのだろう。
古い神社がパワースポットと呼ばれる理由も、こうした古来の人々の知恵が重なり合っているためなのかもしれない。そこで今回は、地震を抑える神さまを紹介したいと思う。
●大なまずの頭と尻尾を抑える神
地震の多発地帯である関東には、地震を抑える神さまを祭る有名な大社が2つある。それが武甕槌(タケミカヅチ)大神を祭る茨城県の鹿島神宮と、経津主(フッツヌシ)大神を祭る千葉県の香取神宮だ。県をまたがっているので遠く離れたお宮だと思いがちだが、直線距離で言えば13キロ程度。利根川や霞ケ浦などがあるので道路が迂回しているとはいえ、車なら30分くらいで行ききできる位置関係である。
江戸時代の頃から日本では、地震は地下に潜む“大なまず”が暴れることで起こる天変地異だと考えられてきた。そしてこの“大なまず”の頭と尻尾を押さえつけているのが、鹿島神宮と香取神宮の神さまだと言われていた。
●7日7晩掘っても見えぬ底
今でも、鹿島神宮と香取神宮の境内には、「要石」と呼ばれる霊石があり、鹿島神宮は凹型、香取神宮は凸型の石の頭がわずかに地表に出ている。この石、地中にどのくらい広がっているのか、大きさは正確にわからないのだという。徳川光圀(水戸黄門)がある時、要石を掘出させようとしたが、7日7晩かかっても底が見える気配がなくあきらめた、という話が残っている。このような話から、鹿島神宮と香取神宮の要石は、地下でつながっているという説まであるくらいなのだ。