「5G」実現に向け握手を交わす、KDDI技術開発本部の松永彰・シニアディレクター(左)とセコム企画部の寺本浩之・担当部長
「5G」実現に向け握手を交わす、KDDI技術開発本部の松永彰・シニアディレクター(左)とセコム企画部の寺本浩之・担当部長
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 KDDIは2月22日、都内で会見を開き、次世代のモバイル通信システム「5G」に関する概要と今後の展開について発表した。

 会見では、「5G」通信は、現行の「4G(LTE)」通信に比べて、より「高速・大容量」となり、「多接続」が可能で、「低遅延」を実現できると発表した。これらが実現すると、一体何ができるようになるのだろうか。

 「高速・大容量」は想像に難くないかもしれない。かつて「3G」通信から「4G」になった時に体感したように、インターネットの接続が高速になり、外出先でもインターネットでスムーズに動画を見られるようになった。「5G」になると20Gbpsという速度になり、これは「4G」の20倍の速さになる。これによって、外出先でも4Kという高画質の動画の再生や大容量データのやりとりが難なくできるようになる。

 「多接続」はあまり馴染みがないかもしれないが、これまで1平方キロメートルあたり10万機器接続できていたものが、通信の効率化で100万機器まで接続できるようになる。このため、通信機器が密集しても速度の低下に耐えられるという。

 「低遅延」は通信における時間差が少なくなるというもの。テレビ通話をしたことがある人はイメージしやすいかもしれないが、現状では映像が多少カクカクして表示される。「5G」ではこれが改善し、ぬるぬると動画を見ているかのように表示できるようになる。これによって、正確な遠隔操作が可能になり、遠隔操作で患者に手術などを施す遠隔医療や、ドローンなどを使った操作がより高度なものになる。また、AR(拡張現実)といった動きに追随した画像の合成もよりなめらかになる。

 この日の会見では、これらの3つの要素のうち、「高速・大容量」における実証実験に成功したことも明らかにされた。「5G」は電波の周波数を高めることで高速性を実現しているが、2つの基地局をまたぐ際にうまく切り替えられない問題があった。こうした問題の解決に国内で初めて成功したという。

 さらに、今後の「5G」の技術実証において、総合警備会社の「セコム」と提携していくことも発表。既に「セコム」はKDDIと提携して、警備員の身体にカメラを装着し、その映像をリアルタイムに共有し警備に生かすサービスなどを実現してきた。今後は、より高精細な映像を警備に生かす実験を共同で進めていく。(ライター・河嶌太郎)