このレースで最も判断が難しいのは、香港馬エイブルフレンド(せん7歳)の取捨選択だろう。2シーズン連続で年度代表馬に選ばれている名マイラーだが、昨年のこのレースではモーリスの3着に敗退し、年明けには屈腱炎で長期離脱。11月になって実戦復帰したものの前走のG2で4着に敗れた。力量的に最上位なのは確かだが、現在の状態をどう見積もるかで評価が大きく変わってくる。

 香港国際競走のトリを飾るのは香港カップ。ここは日本馬2頭の名勝負が期待できる。昨年の同レースを逃げ切り勝ちし、今年5月には仏G1イスパーン賞で圧巻の10馬身差勝ちを収めたエイシンヒカリに、マイル王にとどまらず中距離王の座を狙うモーリス。前走の天皇賞・秋ではモーリスが勝ち、エイシンヒカリは12着に沈んだが、エイシンヒカリは昨年も天皇賞・秋9着から巻き返している。1枠1番とこの馬には絶好の枠順を引いたように幸運も味方につけている。

 モーリスは2000メートルの距離をこなせることを天皇賞で証明。シャティンの馬場も昨年の香港マイルを制したように問題なく、引き続き世界の名手ムーア騎手が手綱を取るのも好材料だ。

 ラブリーデイ(牡6歳)とステファノス(牡5歳)も出走予定。エイシンヒカリとモーリスの両横綱とは勝負付けが済んでいる印象だが、その他の馬には引けを取らない力を秘めている。ぜひ香港競馬史上で語り継がれるような名レースを日本馬たちで見せてほしい。