ワールドカップ14年ぶり世界一が期待される松山英樹(左)と石川遼(右)。(写真:Getty Images)
ワールドカップ14年ぶり世界一が期待される松山英樹(左)と石川遼(右)。(写真:Getty Images)

 日本のスター・タッグが世界一に挑む戦いが、いよいよ始まる。

 男子ゴルフの国別対抗戦「ワールドカップ」が現地時間11月24日、オーストラリアのキングストンヒースGCで開幕する。このビッグイベントには28カ国、計56選手が出場。松山英樹と石川遼の2人が日本代表としてペアを組み、国の威信と名誉をかけて世界の強豪たちとプレーする。

 日本チームは、14年前のメキシコで行われた2002年大会で伊澤利光&丸山茂樹ペアが優勝しており、日本の若武者2人はそれ以来、日本チームとして通算3度目の頂点を目指すことになるわけだ。

 この大会は前回の個人戦覇者であるジェイソン・デイに出場権が自動的に与えられているため、この時点でオーストラリアには出場資格があり、残り27カ国は8月1日時点の世界ランクによって決められる。各国の最上位選手はパートナーを選ぶことができるが、このランクで日本人として最上位者の松山は、石川をパートナーに指名した。

 石川は、8月に入って松山からこの大会への出場を打診されていたようだが、RIZAP・KBCオーガスタで復活Vを飾ったのは8月下旬のことで、当時は2月のケガからの復帰前。ランキング上では石川よりも上位にいる日本人選手が複数人いたし、今でも池田勇太や谷原秀人、片山晋呉が石川の上にいる。それにもかかわらず、松山は石川をペアに選んだわけだが、そこには松山の日本ゴルフ界に対する思いが透けて見える。

 PGAツアーを主戦場とし今や世界トップクラスのゴルファーとなった松山にとって、同ツアーでプレーする石川はいわば「同じ釜の飯」を食べる仲。世界最高峰の舞台で活躍することは、自分たちのゴルファーとしてのステータスを引き上げるだけでなく、国内ゴルフの活性化にも繋がるという共通認識を持ち合わせていることが大きいだろう。

 それに今でこそ実績にやや差がついている2人だが、松山はジュニア時代から切磋琢磨(せっさたくま)してきた石川の実力を十分に知っており、良きライバルでもある。アップダウンがあっても、タフな米ツアーで揉まれ、異国の地で戦う旧知の友をパートナーとして指名するのは、自然な成り行きなのかもしれない。

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