周りの人の協力は必要不可欠…(※イメージ)
周りの人の協力は必要不可欠…(※イメージ)
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「きまじめで努力を惜しまない性格の人」に多いといわれてきた「うつ病」。だが、近年は、趣味や遊びは楽しめるのに、仕事になると元気が出なくなる「新型うつ病」が増えているのだという。

 特徴としては、20~30代前半の若者に発症が多く、職場や公的活動では、うつ症状が悪化するが、自分の好きなことでは症状は軽くなり、比較的活動的になるという。また、自責感に乏しく、他罰的で、うつ病と認めること、うつ病で休職することに抵抗が少なく、むしろ望む傾向にあるそうだ。

 こうした症状はさらに細分化することができるという。たとえば、20代前後に発症するとされる「非定型うつ病」は、職場や仕事ではうつ状態が強いが、そこから離れると解消する。また病前の性格としては、拒絶に対して過敏で傷つきやすく、対人不安が強いのが特徴だという。

 30歳前後に発症するという「ディスチミア親和型うつ病」は、「まじめさ、熱心さが希薄でうつ症状にしがみつく」のが特徴。病前性格は自己愛が強く、規範・秩序に抵抗があり、自分が万能だと思い込みがちだそうだ。

 こうした新型うつ病の対処法について、駿河台日本大学病院精神神経科部長の渡辺登医師は次のように話す。

「特効薬はありません。従来のうつ病よりも、新型うつ病は慢性化して治りづらいものです。『わがまま』『自分勝手』など突き放した言動を控えるなど、周りの人の協力は必要不可欠です。産業医や保健師、上司などは、本人の持ち味を生かせるよう『育て直し』を試みましょう。そのために、患者さんだけではなく、職場の同僚も新型うつ病に対する理解を深めることが重要です」(渡辺医師)

※週刊朝日 2012年8月10日号