『DEATH NOTE 完全収録版』(集英社)。その重量ゆえに、ネット上などでは「これで殴れば人を殺せるのでは」とも囁かれる『DEATH NOTE 完全収録版』。実際、制作現場でもそうした会話があったかを尋ねたところ、「そのような事実はありません」とのことだった
『DEATH NOTE 完全収録版』(集英社)。その重量ゆえに、ネット上などでは「これで殴れば人を殺せるのでは」とも囁かれる『DEATH NOTE 完全収録版』。実際、制作現場でもそうした会話があったかを尋ねたところ、「そのような事実はありません」とのことだった
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企画担当者いわく、「デザインにも工夫がある」。特殊な紙を使用するなど、前例のない製本プロセスを経たため、本の背の厚さが急遽変更になることも想定された。そのため、厚みが変わっても美観が崩れないデザインになっている
企画担当者いわく、「デザインにも工夫がある」。特殊な紙を使用するなど、前例のない製本プロセスを経たため、本の背の厚さが急遽変更になることも想定された。そのため、厚みが変わっても美観が崩れないデザインになっている

 2016年10月29日(土)に前作から10年ぶりとなる新作映画の公開を控え、再度注目が集まっている『DEATH NOTE』(集英社)。その関連プロジェクトとして10月4日(火)に発売されたコミックス『DEATH NOTE 完全収録版』は、週刊連載された全108話に加え、これまで単行本化されていなかった特別読み切りが収録されており、映画に先立って物語をおさらいしたいファンにはうってつけの内容だ。

 発売前からネットで「これが本当のデスノート」と反響の声が相次いだ同書だが、実際に読者を驚かせたのは内容ではなく、常識はずれともいえる本の"厚さ"だった。通常版の『DEATH NOTE』はコミックス12巻構成だが、『DEATH NOTE 完全収録版』は12冊分のストーリーが1冊にまとめられており、ページ数は実に2400、厚さ8センチと、コミックスとしては規格外の本となっている。厚さ8センチというと大したことないように思えるかもしれないが、実際に手にとってみると漬物石、もしくは太った小型犬でも掴み上げたような感覚。お殿さまの枕としても使用できそうなボリューム感だ。

 この近年まれに見る"トンデモ本"が製作された背景には何があったのか。集英社ジャンプ・コミック出版編集部の企画担当者に話を聞くことができた。

「着想のきっかけは、弊社が以前から刊行している『集英社ジャンプリミックス』という商品です。これは主にコンビニで販売している500ページ前後の廉価版コミックスで、通常のコミックスは約200ページですから2.5倍ほどのボリュームになります。ページ数を多めに設定しているのは、作品内容を区切りのよいところまで収録するためで、この方が読者にとって読みやすいだろうと意図してのことです。こうした仕様を極限まで発展させたら、一体どのくらいの厚さとページ数が実現可能なのか、もしかしたら作品まるごと全編を1冊にまとめられるかもしれない、という考えに到り、『DEATH NOTE 完全収録版』の開発に着手することになったのです」

 だが、その実現は平坦な道のりではなかった。最大の障害となったのは"厚さ"との戦いだ。

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