米大リーグ・ヤンキースでワールドシリーズMVPに輝いた栄光から3年。松井秀喜(38)は、レイズから戦力外通告を受けるという人生の岐路に立たされた。

 今季は34試合で打率1割4分7厘、7打点、2本塁打。7月2日に左太もも裏を痛めてからは、18打席連続で無安打、打点なしと、地元紙でも批判の声が高まっていた。

「通告前から地元記者の間では、すでに松井は戦力として見られていないという話でした。レイズのマドン監督は松井の経験は評価していましたが、古傷の両膝の故障もあって守備も走塁も満足にできない上に打てないとなると、もう使いようがない。寂しいことですが、戦力外は当然ですね」(スポーツ紙記者)

 年齢もロートルの域に入ってきた満身創痍の松井に、今後どんな道が残されているのか。長年、松井を取材してきたスポーツジャーナリストの鷲田康さんは、(1)メジャー他球団へのトレード(2)日本球界への復帰(3)マイナーで現役続行(4)引退――の四つを挙げる。

「松井の年齢や状態から考えて、獲得に手を挙げる他球団はおそらくないでしょう。日本球界への復帰があるなら、それは巨人で間違いない。DeNAや楽天も興味を示していましたが、巨人はすでに昨オフ、原沢敦GMが直々に松井と会って口説いています。松井が日本に戻ると決めれば、巨人復帰となるでしょう」

 しかし一方で、球界関係者が声をひそめてこう話す。

 「実は、松井は"ナベツネ"こと巨人の渡辺恒雄球団会長と関係がよくない。以前、ナベツネ氏の指示で巨人のビジター用ユニホームのロゴを『TOKYO』から『YOMIURI』に変えた際、温厚な松井が珍しく『冗談じゃない。ファンをなんだと思っているんだ』と激怒した。野球より球団の営利を前面に出すナベツネ氏に不信感を抱いている。自身のメジャー行きの希望も、ナベツネ氏には話さなかったくらいですからね。巨人復帰の最大のネックはそこです」

※週刊朝日 2012年8月10日号

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