渡米以来3年連続で12勝以上を挙げている田中。(写真:Getty Images)
渡米以来3年連続で12勝以上を挙げている田中。(写真:Getty Images)

「今日は何も全然良くなかった。味方の好守にも助けられました。チームが勝ったことが一番良いですけど、自分にとっては喜べない登板ではありました」

 9月5日のブルージェイズ戦後、ヤンキースの田中将大が絞り出した言葉は正直な想いだったのだろう。この日は強力打線を相手に、6回1/3を7安打、2失点にまとめて勝利投手にはなった。しかし、野手の正面をつく打球、味方のファインプレーが多かったのも事実。もともとベースボールは少なからず運に左右されるところがあるスポーツだが、この日の田中はかなりラッキーだった印象があった。

 もっとも、これまでのメジャーキャリアを振り返ると、田中は勝ち運を自ら引き寄せているのではないかとすら思えてくる。この日に今季12勝目を挙げ、これで渡米以来3年連続12勝以上。通算では37勝16敗で、勝率.698は勝敗の合計が通算で50を超えている現役投手の中で最高の数字である。

 また、2014年以降で田中が登板したゲームで、ヤンキースは50勝22敗、勝率.694。この勝率は“球界のエース”の称号をほしいままにするクレイトン・カーショー(ドジャース)の.750(57勝19敗)にこそ及ばないものの、アダム・ウェインライト(カージナルス)の.652(43勝23敗)、ジェーク・アリエッタ(カブス)の.682(58勝27敗)を上回る。

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