生活のリズムに大きく影響する睡眠。最近の研究で、認知症と睡眠が大きく関係していることがわかってきました。週刊朝日ムック『すべてがわかる 認知症2016』に掲載された、研究や快眠法を紹介します。
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睡眠が果たす役割は、脳やからだを休ませるだけでなく記憶の定着などにも効果があるといわれています。最近の研究では、認知症とも関係があるとわかってきました。カギを握るのは、アルツハイマー型認知症(以下、認知症)の原因と考えられている「アミロイドβ」というたんぱく質です。
アミロイドβは、認知症を発症した多くの人の脳内から見つかっている物質で、脳神経細胞を死滅させる原因と考えられています。脳内に沈着しても本来は日々分解されて消えていくものですが、なんらかの原因で蓄積してしまいます。その蓄積は認知症が発症するだいぶ前、症状がまったくない健康な段階から始まっているといわれています。
このアミロイドβが脳内に蓄積していくと、認知症が発症し進行していくと考えられます。そのため、アミロイドβを蓄積させないことが、認知症の発症を予防したり、進行を抑制したりするであろうと考えられ、現在、治療薬の開発を含め、さまざまな研究が進められているのです。日常生活の中で、アミロイドβを脳内から排出し、きれいに清掃する働きを担っているのが睡眠です。
脳内のアミロイドβの濃度は、起きている(覚醒している)昼間に高く、眠っている夜間に低いことが示されています。覚醒時に次第にたまってきて、睡眠をとることによって排出していくのです。
秋田大学医学部精神科学講座教授の清水徹男医師はこう話します。